2024.12.30 2024.12.30
本記事では、愛犬にカシューナッツを与えることのリスクと、誤食時の対処法について解説します。
カシューナッツには犬に対する直接的な毒性はありませんが、高脂質による消化器系への負担や、塩分過多による腎臓への影響など、健康上の問題を引き起こす可能性があります。
この記事を読むことで、カシューナッツが犬に与える影響への理解を深めましょう。
目次
カシューナッツに毒性はないが犬にはおすすめしない
カシューナッツ自体には、マカダミアナッツのような犬に対する直接的な毒性は含まれていません。
生のカシューナッツの殻にはウルシオールという有害な成分が含まれていますが、市販のカシューナッツはすでに殻が除去され、加熱処理されているため、この心配はないのです。
ただし、毒性がないからといって安全というわけではありません。
カシューナッツは人間にとっては良質なタンパク質や不飽和脂肪酸、ビタミンEなどを含む栄養価の高い健康食品として知られています。
しかし、犬の消化器系は人間とは大きく異なり、高脂肪・高カロリーの食品を上手く処理できません。
犬の体質や消化の仕組みを考慮すると、与えるべきではない食べ物だといえるでしょう。
カシューナッツやマカダミアナッツ以外にも、危険なナッツ類が存在しますので誤食には注意してください。
さらに詳しく知りたい方はこちら
2024.11.26 2024.12.05
カシューナッツが犬に与える影響やリスク
カシューナッツを愛犬に与えるべきではない理由は、ほかにもいろいろあります。
- 消化器系に大きな負担がかかってしまう
- 高カロリー・高脂質による影響を受けるリスクがある
- 塩分過多により体に悪影響を及ぼすことも
- 窒息や腸閉塞の危険性
具体的にどのような影響があるのか解説します。
消化器系に大きな負担がかかってしまう
高脂肪・高カロリーのカシューナッツを愛犬が食べると、以下の問題が生じる可能性があります。
- 慢性的な消化不良
- 膵臓への継続的な負担
- 腸内細菌バランスの崩れ
カシューナッツの高脂肪・高カロリーな性質は、犬の消化器系に大きな負担をかけます。
人間と比べて脂質の消化能力が低い犬の体では、カシューナッツの脂肪分を適切に処理できず、嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こす原因となるでしょう。
なかでも心配なのは急性膵炎のリスクです。
脂肪の過剰摂取により膵臓が炎症を起こすと、重症化する可能性があります。
ほかにも消化不良による腹痛や食欲不振なども起きやすく、腸内細菌のバランスを崩してしまう恐れもあるのです。
高カロリー・高脂質による影響を受けるリスクがある
継続的な摂取や大量摂取による影響として、以下のようなリスクが考えられます。
- 肥満
- 生活習慣病の発症リスク
- 高脂血症の可能性
カシューナッツ100グラムあたりのカロリーは約550kcalと非常に高く、脂質も約44グラムも含まれています。
このような高カロリー・高脂質の食品を与え続けると、肥満のリスクがぐんと高まります。
特に小型犬の場合、わずかな量でも体重への影響が大きく現れやすいため注意が必要です。
また、過剰な脂質摂取は血中コレステロール値の上昇を招き、心臓病や動脈硬化などの生活習慣病の原因にもなります。
定期的な摂取は、愛犬の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。
塩分過多により体に悪影響を及ぼすことも
市販のカシューナッツには、味付けのために多くの塩分が含まれています。
塩味付きのカシューナッツの場合、以下のような負担を愛犬にかけることになってしまうでしょう。
- 腎機能の低下
- 電解質バランスの乱れ
- 慢性的な腎臓への負担
犬の体は過剰な塩分に非常に敏感で、腎臓への負担が大きくなります。
特に高齢犬や腎臓に持病がある犬では、塩分の過剰摂取により症状が悪化する可能性も。
また、塩分の取りすぎは重度の脱水症状を引き起こし、電解質バランスが崩れることで嘔吐や下痢、さらには神経症状まで現れることがあります。
普段の食事で必要な塩分量は十分に摂取できているため、それ以上塩分を含んだ食品を食べる必要もないのです。
窒息や腸閉塞の危険性
カシューナッツは形状的に犬が丸飲みしやすく、喉につまって窒息する危険性もあります。
また、ナッツ類は水分を吸収して膨張する性質があるため、大量に摂取すると腸につまって腸閉塞を引き起こすリスクもあるのです。
特に小型犬の場合、少量でも深刻な事態につながる可能性が高く、緊急手術が必要になることも考えられます。
万が一、愛犬がカシューナッツを喉につまらせた場合は、すぐに獣医師の診察を受けることが重要です。
犬がカシューナッツを食べたときにみられる症状
愛犬がカシューナッツを誤食した場合、食べた量や犬の体格によって症状の現れ方は異なります。
愛犬の変化に早期に気づき、適切な処置をとることが大切です。
摂取量による症状の違い
カシューナッツを少量口にした場合は、軽度の消化器症状が現れる程度です。多くの場合は自然に回復します。
しかし、体重の5%以上摂取した場合では、重度の嘔吐や下痢、腹痛などの症状が出現する可能性が高まります。
大量摂取の場合、急性膵炎や腸閉塞などの深刻な合併症を引き起こすリスクも。
特に小型犬は少量でも重症化しやすく、複数個のカシューナッツを食べた場合は要注意です。
注意すべき症状
カシューナッツの誤食後、特に警戒が必要な症状がいくつかあります。
繰り返す嘔吐や激しい下痢、食欲不振、元気消失などの一般的な消化器症状に加え、お腹を痛がる様子や背中を丸める姿勢が見られたら要注意です。
また、急性膵炎の兆候として、うずくまる、触られるのを嫌がるなどの行動変化が現れることも。
呼吸が荒くなる、よだれが増える、震えるなどの症状は重症化のサインとして捉える必要があります。
これらの症状が確認された場合は、すぐに獣医師へ相談する必要があります。
経過観察のポイント
誤食後24時間は、以下のポイントを中心に愛犬の様子を注意深く観察しましょう。
- 食欲の変化と水の飲み方
- 便の状態(軟便や下痢の有無)
- 嘔吐の回数と性状
- 腹部の張りや痛がる様子
- 活動量や元気さの変化
特に最初の6時間は症状が出やすい時期です。
普段と比べて水を多く飲むようになったり、トイレの回数が増えたりする場合は、塩分過多による影響の可能性があります。
これらの症状が悪化したり、24時間以上続く場合は、すぐに獣医師の診察を受けることをおすすめします。
カシューナッツを食べてしまった時の対処法
愛犬がカシューナッツを誤食した場合、冷静かつ迅速な対応が必要です。
状況に応じた適切な初期対応で、重症化を防ぐことができます。
食べてしまったらすぐにすべきこと
まず、残っているカシューナッツを愛犬の手の届かない場所に移動させましょう。
次に、食べた量と時間を記録し、パッケージがあれば保管しておきます。
無理に吐かせようとするのは危険なので避けてください。
とはいえ症状が出ていなくても、かかりつけの獣医師に状況を電話で相談するのがベスト。
その際、犬の体重、食べた量、経過時間を伝えることで、適切なアドバイスを受けることができます。
獣医師に相談すべき状況
以下のような状況が見られた場合は、すぐに獣医師への相談が必要です。
- 嘔吐や下痢が2回以上続く
- 食欲不振が24時間以上続く
- お腹を痛がる、うずくまる様子
- 急な元気消失や活動量の低下
- 呼吸が荒くなる、よだれが増える
- 震えや痙攣のような症状
特に小型犬の場合、少量の摂取でも重症化する可能性があるため、早めの受診をおすすめします。
獣医師に相談する際は、食べた量、時間、その後の症状の経過を具体的に伝えることで、より適切な診断につながります。
してはいけない対応
誤食時のパニックで、かえって症状を悪化させてしまう対応があります。
最も危険なのは、無理に吐かせようとすることです。塩水を飲ませたり、指を喉に入れたりする行為は、窒息や食道損傷のリスクを高めます。
また、市販の下痢止めや人用の胃腸薬を与えるのも厳禁。症状を一時的に抑えることで、かえって重症化を見逃す可能性があるためです。
水を多く飲ませることも避けましょう。カシューナッツに含まれる塩分と水分で、体内の電解質バランスが崩れる恐れがあります。
愛犬がカシューナッツでトラブルにあったら動物病院へ!
カシューナッツの誤食は、一見軽症に見えても急性膵炎などの深刻な合併症につながるリスクがあります。
特に、嘔吐や下痢が続く、食欲が低下する、お腹を痛がるなどの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
症状が軽いように感じても、専門家による適切な診断と治療が必要です。
日頃から、近隣の夜間診療可能な動物病院の連絡先を控えておくことをおすすめします。早期発見・早期治療が、愛犬の早期回復につながります。
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