2024.11.07 2024.11.07
公営住宅(市営/県営/都営など)では、ご家庭の判断で勝手にエアコンをとりつけられません。エアコンを設置するには手続きが必要です。
そこで、今回の記事ではエアコン設置の申請方法から工事方法まで解説します。
記事後半では、公営住宅でエアコンを設置した場合の原状回復費にもふれていますので、ぜひ最後までご確認ください。
目次
公営住宅(市営/県営/都営など)にエアコン設置が必要な理由
公営住宅にエアコン設置が必要な主な理由は、居住者の快適な生活環境を確保するためです。エアコンは、適切な室温管理により健康を維持するための必須設備といえます。
特に近年の猛暑や厳冬に対して、天候や季節に左右されない安定的な室温を保つことができ、高齢者や子どもなど熱中症リスクの高い方々の命を守ることにもつながります。
公営住宅(市営/県営/都営など)にエアコン設置するには申請手続きが必要
公営住宅へのエアコン設置には事前の許可申請が必須です。申請には「エアコン設置願」や「模様替承認申請書」などの書類が必要で、名称は地域によって異なります。
また、設置位置の図面やエアコンのカタログ、退去時の原状回復を約束する誓約書なども求められます。無許可での設置は強制退去の可能性もあるため、必ず運営自治体に確認し、正しい手続きを踏んでください。
公営住宅(市営/県営/都営など)のエアコン設置工事【作業の流れと所要時間】
公営住宅にエアコン設置工事をする流れについて解説します。
- 設置場所の確認と養生作業
- 配管貫通穴あけ作業
- エアコン据付板を取り付ける
- 電線接続・エアコンを据付板にかける
- 配管のフレア加工と接続
- 室外機の設置と配管接続
- 真空引きとガス解放
- 試運転
上記のように、設置までの細かい流れは8ステップに分かれ、4時間程度かかります。以下で、それぞれの具体的な工程を解説します。
1.設置場所の確認と養生作業
エアコン設置場所は、間取りやコンセントの位置を考慮して決定します。
また、設置作業中は床の保護が重要です。エアコン本体や工具、脚立などを使用するため、床に傷がつかないよう厚手のマットで養生する必要があります。
薄いマットでは工具の落下時に傷がつく可能性があるので、しっかりとした養生材で保護します。
2.配管貫通穴あけ作業
エアコンの設置には、室内機と室外機をつなぐ配管用の貫通穴(スリーブ)が必要です。
既存のスリーブがない場合は、コアドリルで穴を開けますが、壁内には柱や配線、鉄筋などの障害物があります。下地センサーなどで探査できますが、完全な特定は困難で、専門的な知識と経験が必要です。
3.エアコン据付板を取り付ける
この作業では、スリーブ位置を考慮した適切な位置選定が必須で、配管接続や結露水排出に影響を与えないよう慎重に行います。壁の材質に応じて、石膏ボードにはボードアンカーやビス、コンクリートには専用アンカー、土壁には桟金具など、適切な固定方法を選択します。
4.電線接続・エアコンを据付板にかける
エアコン本体の設置では、まず電線とアース線の接続、配管取り出し口の加工、ドレンホースの調整を行います。アース端子がない場合は室外機側での対応も可能です。
その後、エアコンを据付板に慎重に取り付け、上部を引っ掛けて固定強度を確認し、下部のツメをはめ込みます。最後に、傾きや壁からの浮きがないか確認して完了です。
5.配管のフレア加工と接続
冷媒配管の接続は、パイプカッターでの切断後、バリ取りを行い、フレアナットを入れてフレアツールで加工します。フレア面は鏡面状態を確認し、傷がある場合は再加工が必要です。
エアコン本体の配管との接続はトルクレンチで適切に締め付け、ガス漏れを防止します。最後に接続部に断熱材を巻いて完了です。この工程はエアコン設置の中でも特に重要な作業となります。
6.室外機の設置と配管接続
室外機の設置と配管接続を行います。配管の長さは余裕を持たせ、引張力によるガス漏れを防ぐ必要があります。
電線は適切な長さにカットし、室内機側と同じ順序(黒、白、赤)で確実に接続します。これらの作業は安全性と性能に直結するため、慎重かつ専門的な技術力が求められます。
7.真空引きとガス解放
設置工事の最終段階では、真空引き作業が重要になります。これは配管内の水分を除去し、コンプレッサーの故障を防ぐ重要な工程です。
真空ポンプと真空ゲージを使用して規定圧まで引き、真空状態を確認します。問題がなければ六角レンチでバルブを緩め、冷媒ガスを解放。これにより室内機、配管、室外機が一つの冷媒回路として機能するようになります。
8.試運転
エアコン設置の最終確認では、まず真空引き作業を行い、その後に動作確認を実施します。室外機の電流、電圧、ガス圧のチェックと、室内機の温度確認を入念に行います。
最後に、お客様立ち会いのもとで機器の正常動作を確認し、設置作業による傷などがないかを点検します。これらの確認作業は安全性と性能を保証する重要な工程です。
公営住宅(市営/県営/都営など)のエアコン設置工事にかかる費用
公営住宅のエアコン設置工事費用は、戸建て住宅と大きく変わりません。費用は基本的にエアコンの機能性によって変動します。
具体的な費用については、以下を参考にしてください。
エアコンの種類 | 費用相場 |
---|---|
冷房能力3.6kw以下のエアコン | 14,300円 |
冷房能力3.7kw以上のエアコン | 19,800円 |
窓用エアコン | 7,700円 |
ただし、室外機の置き場などによっても費用は異なりますので、具体的には見積もりをとってみましょう。
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公営住宅(市営/県営/都営など)にエアコン設置をする際の注意点
公営住宅でエアコン設置をする際には、以下の項目に注意してください。
- 設置場所の確認
- 室外機の設置場所の確認
- エアコン専用コンセントの確認
- エアコンを設置できない場合は追加工事が必要
- 退去時には原状回復をする
作業をスムーズに進めてもらうためにも、それぞれの注意点について理解しておきましょう。
設置場所の確認
エアコン設置前には、設置場所の設備を確認する必要があります。
まず、冷媒管を通すスリーブ、エアコン専用コンセント、室内機固定用ボルトの有無を確認します。スリーブがない場合は換気小窓やパネルを利用可能です。
専用コンセントがない場合は自己負担での設置が必要ですが、設置不可能な場合は管理者へ相談が必要です。
室外機の設置場所の確認
室外機の設置場所は、バルコニーまたは共用廊下の専用置場に限られます。バルコニーに設置する場合、緊急避難の妨げにならないよう、避難ハッチ付近や隣戸との仕切り近くは避け、60cm以上の通路確保が必須です。
共用廊下の場合は専用の室外機置場のみ設置可能で、排水用のドレンホース設置や、スリーブ使用時の耐火処理など、適切な施工が必要です。
エアコン専用コンセントの確認
エアコン設置には専用コンセントが必須で、その有無で設置を断られる場合もあります。エアコン専用コンセントとは、分電盤の1つのブレーカーに1つのコンセントのみが接続されているものです。
分電盤でエアコン用ブレーカーの数とコンセント数を確認し、専用回路かどうかを判断します。専用コンセントがない場合、設置は自己負担となりますが、住戸に1か所もない場合は管理者に相談が必要です。
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エアコンを設置できない場合は追加工事が必要
公営住宅では、建物の構造や設備の違いにより、エアコンの設置が難しいケースがあります。
特に、壁に穴を開ける配管工事が制限されることがあるため、事前に管理者や自治体への確認が必要です。もし既存の穴やダクトがない場合は、新たに穴を開けるための追加工事が発生することが多く、工事費用も上乗せされます。これにより、通常の設置費用よりも高額になる可能性があるため、事前の見積もりをしっかり確認しましょう。
退去時には原状回復をする
公営住宅にエアコンを設置した場合、退去時には原状回復の義務が生じることがあります。原状回復とは、入居時の状態に戻すことです。
エアコンの設置によって開けた穴や取り付けた器具の跡を元に戻さなければなりません。特に、配管のための壁の穴や取り付け金具の跡などが問題となる場合があります。
公営住宅(市営/県営/都営など)でエアコン取り外し等、原状回復にかかる費用
公営住宅でエアコンを取り付けた場合、退去時に原状回復費用がかかります。主にかかる費用は、以下のとおりです。
- エアコンの取り外し…5,000円前後
- エアコン改修費用…~3,000円
ただし、設置工事の内容によっても原状回復費用は異なります。
公営住宅(市営/県営/都営など)でのエアコン設置はまず管理者に問い合わせよう!
公営住宅にエアコンを設置する際は、必ず確認をとってください。ご自身の判断だけで設置を進めてしまうと、後々トラブルになる恐れがあります。
ただ、申請をした後は、実際に設置しなければなりません。その際の業者探しも大変でしょう。
セーフリーでは、多数のエアコン設置業者を掲載しています。実際にエアコン設置を業者に依頼する際には、ぜひご活用ください。お近くのエリアから絞り込めますので、公営住宅の設置に精通した業者など、納得のいく業者が見つかります。ぜひお役立てください。
公営住宅(市営/県営/都営など)にエアコンを設置する際のよくある質問
-
Q. 公営住宅(市営/県営/都営など)にエアコンを新設できますか?
A.設置はできますが、許可が必要です。
-
Q. 公営住宅にエアコン用コンセントがないのですが、工事できますか?
A.工事可能ですが、許可が必要です。
-
Q. エアコンを新設する際はどこに相談したら良いですか?
A.エアコン工事専門の業者などに依頼しましょう。