2025.01.29 2025.01.30
本記事では、配電盤・分電盤・制御盤の違いについて解説します。
自宅に設置されている分電盤やブレーカーなどの機器を日常で目にする機会はあっても、配電盤や制御盤と聞いてピンとこない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、電気系統の要となるそれぞれの違いを、供給時の役割や配電の仕組みとあわせてチェックしていきます。交換が必要な時期の見極め方や、長く安全に利用するための故障予防策などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
配電盤・分電盤・制御盤の違いとは【まずは概要をチェック】
最初に、配電盤・分電盤・制御盤それぞれの役割を見ていきましょう。以下の表で、概要や設置場所を一覧にしましたので、違いを比較してみてください。
役割概要 | 設置場所の特徴 | |
---|---|---|
配電盤 | 発電所から高圧電力の供給を受け、変圧して分電盤へ電気を送るもの | 工場やビルなどのおおがかりな設備 |
分電盤 | 漏電ブレーカーや安全ブレーカーが中にあり安全に電気を提供するためのもの | 一般家庭や集合住宅など |
制御盤 | 機械や装置などを制御・操作するためのもの 自動で動く機械やライン全体をコントロールするものまで、大小さまざま |
工場の生産ライン、スーパーやコンビニのショーケース,エスカレーターやエレベーター、空調設備、信号機など |
一般家庭でなじみのある分電盤と違い、配電盤や制御盤は、電圧や動力の規模が大きいのが特徴。そのため、工場や公共施設を中心に設置されています。
では、それぞれの仕組みや関連性を、詳しくチェックしていきましょう。
配電盤とは【分電盤・制御盤との違い】
まず、配電盤について、役割や仕組み、分電盤・制御盤との関連性を解説していきます。
配電盤の役割
配電盤は、発電所から電線によって送られてきた電気を受け、電気を各分電盤に供給する役割を担っています。名称に「配電」とついていますが、実際は、受電装置として「受電」した電気を変圧して「配電」している機器と言えるでしょう。
配電盤が設置される場所は、ビルや工場などの大きな施設に限られ、家庭用の電気とは比較にならないほどの大容量の電気を受電します。数値として6600ボルトとも言われるほどの大きな電圧がかかるのです。
一般家庭で電気を使用する場合には、100ボルトから200ボルトである点を考えると、配電盤に受電される電圧がどれだけ高圧なのかがわかりますね。
独立した建物に配電盤を設置している施設もあるほど。大きな動力を必要とする大型の施設には、高圧電力を受電できる配電盤が必要になるわけです。
配電盤の仕組み
配電盤は、大きく閉鎖型(キュービクル)と開放型の2つに分けられます。
閉鎖型(キュービクル)は、金属のケースに変圧や送電のための機器が収納されているタイプで、工場や学校、ビルなどの高圧受電契約をしている施設などで使用されています。簡単に開閉できない形状なので、開放型より保守性や安全性が高く、主流となっています。
仕組みとしては、火力・水力・太陽光などから発電所で発電された電気が、変電所によってそれぞれの施設に適切な電圧に変圧され、電線を通じて配電盤が受電する流れです。そこから、施設内の各機器が使用できるよう、さらに変圧して配電されていきます。
分電盤・制御盤との関連性
大規模施設で使用する電力を受電して、電圧を下げながら配電する配電盤に対し、分電盤は、配電盤が配電する先に設置されています。分電盤は、電圧を下げる機能を持たない代わりに、分電盤につながる機器に適切な電力を配分するように設計されています。
そして、分電盤から送られる電気を利用しているのが制御盤。機械や装置などを支障なく使用できるように制御しているわけです。
分電盤とは【配電盤・制御盤との違い】
次に、分電盤に焦点を当てて、役割や仕組みを見ていきましょう。
分電盤の役割
分電盤とは、配電盤によって配線された電気を、マンションなどの集合住宅や一軒家の各電気機器に送る装置です。住宅だけでなく、ビルや工場などの大型施設では、フロアや部屋ごとに設置されています。
分電盤の役割は、電気を分配するだけではありません。電気の使いすぎを監視し、限界を超えると電気を止める機能を備えています。
分電盤の仕組み
分電盤は、各電気会社、もしくは施設おおもとの配電盤から電力を供給します。その後、各電気機械や家電製品に電力を流していきます。
分電盤は、以下の役割を持つブレーカーを収めています。
ブレーカーの種類 | 特徴 | 役割 |
---|---|---|
アンペアブレーカー | 家全体の電気を管理している | アンペアブレーカーを切ると、全ての電力の供給が止まる |
安全ブレーカー | 回路ごとの電気を管理している | 分岐しているため、1つの回路に過電流があっても他の回路には影響しない |
漏電ブレーカー | 漏電を検出した場合、すぐに電気を止める | 感電や火災を未然に防ぐ |
それぞれのブレーカーによって、分電盤からさらに細かく、安全に電力が供給されているのです。
配電盤・制御盤との関連性
大きなビルや工場であれば、配電盤から分電盤へ電力が供給されるという関連性が生まれます。各フロアなどにそれぞれ分電盤を設ければ、一般家庭と同じイメージでフロアごとに電力を操作できるのです。
つまり、フロアの改修工事やリフォームをする際、そのフロアにある分電盤のアンペアブレーカーさえ落とせば、施設全体を停電する必要がないメリットもあるわけですね。
なお、分電盤の設置されている場所や規模によって、機器を制御する制御盤の大きさやスペックが変動します。配電盤並みの大きいものから、分電盤にも見える壁掛けタイプの小さなものまで多種多様に存在するのです。
制御盤とは【配電盤・分電盤との違い】
制御盤の役割や仕組みも、見ていきましょう。
制御盤の役割
制御盤とは、機械や装置などを制御するためのもの。主に、以下のような設備で使用されています。
- スーパーやコンビニのショーケース
- 工場の生産ライン
- ビルの空調設備
- エレベーター・エスカレーター
- 信号機 など
上記のように、多岐にわたる場所で制御盤は作動しています。分電盤から送られてくる電気を利用して、設備や機器が適切に作動するようにコントロールする、重要な役割を担っているのです。
制御盤の仕組み
制御盤の構造は、動力回路と制御回路、2つの回路で構成されています。
動力回路はモーターやヒーターなどの動きを制御するもので、マグネットスイッチやインバータを回路に組み込んで機器や設備に電気を送ります。一方、制御回路は、動力回路のマグネットスイッチやインバータを、スイッチやセンサーなど入力デバイスからの信号に基づいて制御します。
金属製のキャビネットという箱に、機能を発揮するために必要な電気部品や電気機器が収められており、サイズ感は大小さまざま。また、扉面にはスイッチやランプ、電流計などが備え付けられています。
配電盤・分電盤との関連性
配電盤があるような大きな施設では、制御盤が設置されていると言えるでしょう。
また、制御盤としての機能は同じでも、現場の設置環境の規模や屋外か屋内かによって、スペックに違いがあります。
たとえば、屋内用の制御盤は屋内盤と呼ばれる一方で、屋外用の制御盤は屋外盤とすみ分けされます。大小の差だけでなく、耐候性をはじめとする保護機能付きか否かなども、それぞれの設置場所によって異なるのです。
配電盤・分電盤・制御盤の交換時期に違いはある?
配電盤や分電盤、制御盤などの電気系統は、機器や部品の集合体。交換時期は、それぞれの機器、部品の寿命に大きく影響されます。つまり、各機器、部品のオーバーホールや部品の更新を実施しながら、盤としての機能を維持していくわけです。
ただし、使用上支障のない状態を維持しつづければ良いわけではありません。配電盤・分電盤・制御盤ともに、設置後15年を目安に交換の計画を立て、少なくとも、設置後20年には設備に適応する新しい機器に交換するのが推奨されています。
分電盤やブレーカーの交換費用は、以下記事を参考にしてください。
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配電盤・分電盤・制御盤の故障防止方法【違いに沿って解説】
最後に、配電盤・分電盤・制御盤の故障防止方法を解説します。それぞれの違いも踏まえつつ、チェックしていきましょう。
配電盤の故障予防法
配電盤は大きな電力を施設内に配電する要の装置。その分、個人や管理者の範疇では、故障を防止するには荷が重いと言えます。
そのため、専門業者による定期点検を怠らないようにしてください。また、変圧機能が正常に作動しない、各分電盤への配電が安定しない、などの異常があったら、すぐに電気工事業者へ連絡する体制を整えておきましょう。
分電盤の故障予防法
一般家庭にも使用されている分電盤は、電気工事業者に定期的にメンテナンス対応してもらうのをおすすめします。個人でも意識できる故障予防法は、以下を参考にしてください。
- ブレーカーが正しく作動するか、定期的にチェックする
- 一部の回路に負荷が集中しないか、家電製品の量や配分に配慮する
- 分電盤内部の各ブレーカー類に違和感がある場合は、速やかに交換する
- 分電盤設置場所の湿度を低く保ち、錆や絶縁不良を極力避ける
大きい施設で配電盤から配電される分電盤は、配電盤などと同じタイミングで、定期点検してもらいましょう。
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制御盤の故障予防法
制御盤の故障を引き起こす原因は、主に以下の3点が挙げられます。
- 熱:温度が10℃高くなるだけで、電子部品の寿命が一気に半分まで短縮される
- 結露:結露状態だと金属部分が腐食しやすい
- 異物:制御盤の中に異物が侵入するだけで故障の原因に
熱や結露など、温度変化に弱いのが制御盤。大前提として、導入時に、内部の冷却や換気が可能な制御盤を選ぶ必要があります。冷却や換気ができれば、電子部品の加熱や結露による故障を軽減でしょう。
また、配電盤などと同様、定期的なメンテナンスが重要です。制御盤が入力信号を正しく処理しているかどうかは、電気回路図を読む知識が必須。必ず、専門業者に依頼してください。
配電盤・分電盤・制御盤の違いは電気工事業者に聞いてみよう!
配電盤・分電盤・制御盤の違いについて解説しました。
普段あまり目にしない配電盤や制御盤も、分電盤の機能を生かす大切なアイテム。故障を招いて日常生活に支障がでないように、メンテナンスを意識しましょう。
それぞれの動作に不安がある場合は、有事に至る前に電気工事業者に相談してみるのがおすすめです。
セーフリーでは、全国の電気工事業者から、お近くの業者を絞り込み検索できます。難しい機器の疑問点などを丁寧に教えてくれるだけでなく、いざという時に頼りになる業者を探してみましょう!
- 配電盤や制御盤ってなに?
- 配電盤や制御盤、分電盤の違いは?
- 配電盤・制御盤・分電盤の寿命は?
配電盤・分電盤・制御盤、
それぞれの違いは、
電気工事業者へ聞いてみよう!
配電盤・分電盤・制御盤の違いに関するよくある質問
-
Q. 配電盤を自分で操作するケースはありますか?
A.配電盤は、主に大きなビルや工場などに設置されています。
扱う電力も多いので、まず素人はいじれません。操作するのは電気工事士資格を持つ専門業者に任せるケースがほとんどでしょう。
-
Q. 制御盤はどこに設置されているものですか?
A.制御盤は、主に以下のような場所に設置されています。
- スーパーやコンビニのショーケース
- 工場の生産ライン
- ビルの空調設備
- エレベーター・エスカレーター
- 信号機 など
上記のように、規模や場所は多岐にわたります。また、設置場所によって、スペックや大きさはさまざまなのが、制御盤の特徴と言えます。
-
Q. 分電盤とブレーカーは違いますか?
A.ブレーカーは、分電盤に収められている部品の一部。アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーの種類があり、そのすべてをまとめているのが分電盤です。
混同されるケースも多いですが、分電盤とブレーカーは、別のアイテムなのです。