2024.10.17 2024.12.05
外壁塗装の無機塗料について詳しくご紹介します。
外壁塗装に使用する塗料の中でも最高ランクと評される無機塗料。ただ実績が多い他の塗料と比較すると、まだまだ詳細に知られていないのも事実です。
この記事では、長い耐用年数を持つ高性能な無機塗料の特徴に加え、メリットやデメリット、費用の比較を詳しく解説していきます。
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外壁塗装に使う無機塗料の概要
外壁塗装に使用する無機塗料は、無機物が配合された塗料のことを指します。
「無機」とは、作り出された化学物質ではなく、紫外線で分解できないものを指して用いられる表現です。無機物の紫外線を浴びても劣化しにくいこの性質を塗料に応用できないかと作られたのが、無機塗料なのです。
ただ実際のところ、無機物は硬すぎてそのまま塗料にすることはできないため、その耐久性を活かしつつ有機物を少量混ぜて作られています。
無機塗料と有機塗料の違い
一般的な外壁塗料はアクリル・シリコン・フッ素などですが、これらは有機物である合成樹脂を使用した塗料です。
一方無機塗料は、基本的に炭素を含んでいない無機物を中心に使用しており、さらに有機物である合成樹脂を少量含んだ塗料となります。
無機物だけでは塗料になりませんので、主成分である無機物に合成樹脂を配合したものを無機塗料と呼んでいるのです。メーカーで呼称が異なり、無機系塗料や無機ハイブリッド塗料と呼ばれることも。
またメーカーによって無機物の含有率も異なるため、選ぶ塗料次第で仕上がりも大きく左右されます。
塗料の分類 | 特徴 | 塗料 |
---|---|---|
無機塗料 (無機ハイブリッド塗料) |
無機物を中心に使用 | セラミック塗料・セラミックシリコン樹脂塗料など |
有機塗料 | 合成樹脂を使用 | アクリル・シリコン・ウレタン・フッ素など |
無機塗料内の無機物含有率には差がある
先ほども少し触れた通り、無機塗料内に入っている無機物は、そのままでは塗料として使用できません。
無機物を塗料として活用するには、壁に貼り付けるための樹脂である有機化合物も必要。ですから、無機塗料と言われている塗料だとしても、完全に無機物のみの塗料はありません。
とはいえ、各メーカーによって無機物の含有率には差があります。
無機成分の割合が上がれば耐久性は伸びますが、ひび割れの可能性も高まるため難しいところ。一番無機物含有率が高いものは、60%を実現しているメーカーのものもあります。
無機塗料のメリット
無機塗料のメリットについてご紹介します。
外壁塗料の中でも高性能を誇る無機塗料は、以下のような数多くのメリットを有しています。
- 雨や紫外線などの外的要因に強い
- 不燃性に優れている
- カビや苔が生えにくい
- 汚れが付きにくい
それぞれを詳しく解説していきましょう。
雨や紫外線などの外的要因に強い
無機塗料は有機樹脂の成分の包含量が多くないため、雨や紫外線などの外的要因による劣化が少ない傾向があります。
この耐候性の良さは、無機塗料の中に含まれる無機物の包含率で変動します。他の物質と結びつきにくく、壊れづらい無機物が多く含まれていればいるほど、劣化に強いというわけです。
不燃性に優れている
無機塗料は、有機樹脂の塗料と比較すると不燃性に優れている特徴もあります。
もちろん無機塗料の中にも有機樹脂などが少量含まれているので、まったく燃えないわけではありませんが、他の塗料と比べると燃えにくい傾向があるのです。
そのため、もし火事になったとしても被害の拡大を最小限に留める効果も期待できます。
カビや苔が生えにくい
無機塗料の大きな特徴として、カビや苔が発生しにくいというメリットが挙げられます。
無機塗料の塗膜は非常に緻密なうえ親水性もあるため、カビや苔の菌が付着しにくい傾向があります。またもし付着したとしても、ガラスの表面のように雨によって洗い流されてしまい、増殖する余地がないのです。
湿気の多い地域や日当たりが悪い立地にある家の外壁は、カビや苔に悩まされることも少なくありませんが、無機塗料を使用すればストレスの軽減に役立つでしょう。
汚れがつきにくい
先ほども触れた通り、無機塗料の塗膜には親水性があります。これは水になじみやすい性質ということですが、汚れと塗膜の間に水が入り込みやすく、そのまま汚れを洗い流してしまうということ。
雨などで綺麗に汚れを流し去ってくれますので、長期間綺麗な外壁の状態を保てるのです。
無機塗料のデメリット
無機塗料のデメリットについてご紹介します。
強い性能を持つ塗料として人気が高まりつつある無機塗料ですが、もちろんデメリットもあります。
- 他の塗料よりも費用が高い傾向がある
- ひび割れしやすい
- 扱いが難しい
- ツヤ消しできない物が多い
それぞれを詳しく解説していきましょう。
他の塗料よりも費用が高い傾向がある
無機塗料の大きなデメリットは、やはり費用に割高な傾向があることです。
もちろん長期的に綺麗な状態を維持でき、塗り替えのサイクルも長いので長い目で見ればコスパがよいのですが、1回に出る費用が大きく負担が掛かるのも事実。
これは家にどれくらい住み続ける予定があるか、もしくは定期的に塗り替えができる予算や環境なのかによって決定が大きく変わります。
ひび割れしやすい
無機塗料の大きな特徴として、塗膜が硬いという傾向があります。
これはひび割れをしやすい原因となり、もし外壁にひびが入った場合、無機塗料の塗膜にも一緒にひびが入ってしまいます。地震などの災害が多い地域の場合、特に意識しておくべきポイントです。
扱いが難しい
無機塗料は、一般的によく使用される有機塗料と比べても扱いが難しい一面があります。
独特の硬めの質感と伸びの悪さが作業を難しくさせ、経験がなければ簡単には扱えません。均一に塗料を伸ばし、綺麗に仕上げるためには知識だけでなく感覚的な技術が必要なのです。
ですから外壁塗装で無機塗料を使用するのであれば、依頼する業者の実績と職人の技術を確認しておくことが必須条件となるでしょう。
ツヤ消しができない物が多い
多くの外壁塗装の塗料は、ツヤがあるタイプのものが一般的です。光沢があれば綺麗な印象がありますし、新築のような見栄えがするからです。
ただ人によってはツヤがあるとチープに見えるため、ツヤなしのマットな質感を希望する場合も。ただ無機塗料の多くはツヤがあるタイプで、ツヤ消しできない場合もあります。
ですが完全にツヤを消せるタイプは無くても、ツヤ調整して5~3ツヤまでなら調整可能です。これも対応できる業者に差がありますので、事前に確認する必要があります。
他の塗料と無機塗料の費用の比較
他の塗料と無機塗料の費用の比較をご紹介します。
有機塗料よりも高額とされている無機塗料ですが、どのくらいの費用差があるのが比較してみましょう。以下では、4種類の有機塗料と無機塗料の1㎡当たりの単価を比較しています。
塗料の種類 | 費用相場 | 耐用年数 |
---|---|---|
無機塗料 | 4,000~5,500円/㎡ | 約15~25年 |
アクリル塗料 | 1,000~1,800円/㎡ | 約5~8年 |
ウレタン塗料 | 1,700~2,500円/㎡ | 約5~10年 |
シリコン塗料 | 2,300~3,500円/㎡ | 約8~15年 |
フッ素塗料 | 3,500~5,000円/㎡ | 約12~20年 |
無機塗料に関する注意点
無機塗料に関する注意点をご紹介します。
- 仕上がりは職人の腕に左右される場合が多い
- 無機塗料の上から再塗装は難しい
- 無機塗料には多少の有機物を配合した種類もある
- 不向きな外壁材もある
内容を詳しく解説していきます。
仕上がりは職人の腕に左右される場合が多い
無機塗料を使用する場合、仕上がりの質は職人の腕に左右されるケースが少なくありません。
塗装が比較的難しいと言われる無機塗料は、硬い質感で伸びがよくないため、ムラなく塗るにはかなりの技術が必要です。また手順を飛ばしたり間違えると、良い塗料でもすぐに剥がれることも。
業者の実績はもちろんのこと、職人の評判や実務年数、得意としている塗装分野などもチェックする必要があるでしょう。
無機塗料の上から再塗装は難しい
無機塗料には表面に汚れが付着しにくい性質があるため、再塗装の際にはこれが裏目に出る場合があります。新しい塗料が下に上手く密着しないのです。
もちろん20年以上の耐用年数を誇る塗料ですので、今現在に再塗装の可能性は低いですが、今後年数が経ってくると無機塗料を使用した外壁の再塗装が多くなるでしょう。
無機塗料で塗装した外壁・屋根の家は要注意です。
無機塗料には多少の有機物を配合した種類もある
オーナー様の中には、無機塗料と呼ぶからには有機樹脂が全く含まれていない塗料があると考える方もいらっしゃいますが、無機物のみでは塗料になり得ません。
もちろん無機物の含有率には、メーカーや商品によって差があります。
無機物と有機物の混合のため「ハイブリッド塗料」と呼ばれたり、有機塗料に少量の無機物を混ぜたものを「無機塗料」と呼んでいることもあるので、塗料の詳しい説明は業者にお願いするとよいでしょう。
不向きな外壁材もある
一般的に塗料と外壁の材質には相性というものがあります。これは無機塗料に限ったことではありませんが、比較的新しい無機塗料は、塗装可能な外壁が限られているケースが見られます。
あるメーカーの無機塗料は、モルタルと一部の鉄部には使用できても、サイディングボードやガルバリウム鋼板には不可の場合も。木部や屋根への塗装もできません。
年々改良されて対応できない外壁素材も減ってきていますが、それでも材質によって不向きの場合があることを覚えておいてください。
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外壁塗装の無機塗料について詳しくご紹介しました。
塗料の中でも高性能と評される無機塗料ですが、外壁の状態や目的によって不向きな場合もあります。高額な費用が必要となる施工ですので、まずはメリットとデメリットをよく比較・検討してください。
ただ無機塗料に興味があったとしても、自分の家に合った塗料なのかは分からないところ。こんな時は専門的な知識が必要ですので、迷った時は業者への相談をおすすめします。
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