2024.11.21 2024.12.05
本記事では、犬にぶどうを与えることの危険性と、誤って食べてしまった場合の具体的な対処法について解説します。
ぶどうやレーズンには、犬の腎臓に重大なダメージを与える成分が含まれており、少量でも命に関わる事態を引き起こす可能性が高いです。
愛犬の健康を守るため、ぶどうによる中毒症状や万が一の際の応急処置まで、飼い主さんが知っておくべき情報を詳しく説明していきます。
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目次
なぜ犬にぶどうを与えてはいけないのか
犬にとって、ぶどうは命に関わる危険な食べ物のため、決して食べさせてはいけません。
- ぶどう中毒による急性腎不全のリスク
- 具体的な有害物質は未だ特定されていない
- 体重別の危険量目安
- 死亡事例の報告と研究結果
- レーズンやジュースなどぶどうの加工品も同様に危険
なぜ危険なのか、どのような症状が出るのか、具体的なメカニズムと共に解説していきます。
ぶどう中毒による急性腎不全のリスク
ぶどうには、犬の腎臓に深刻なダメージを与える毒性物質が含まれています。
この物質が体内に入ると、腎臓の機能が急激に低下し、急性腎不全を引き起こす可能性があります。
特に危険なのは、摂取量と中毒症状に明確な相関関係がないという点です。
わずか数粒でも重症化するケースがある一方、多量に食べても軽症で済むケースもあり、個体差が大きいことが特徴です。
また、品種や体格に関係なく発症する可能性があり、一度腎不全を発症すると治療が困難で、最悪の場合死に至ることもあります。
そのため、ぶどうの誤食は「絶対に避けるべき」とされており、予防が最も重要です。
具体的な有害物質は未だ特定されていない
ぶどうを食べることにより中毒症状を起こすことはわかっているのですが、ぶどうに含まれる犬に有害な物質については、現時点でも明確には特定されていません。
原因物質として、ぶどうに含まれる「酒石酸」という天然の酸味成分が関係しているのではないかと考えられています。
そのほかにも農薬やカビ毒、ぶどう由来の未知の成分、ビタミンD類似物質などが疑われていますが、その特定には至っていないのが現状です。
体重別の危険量目安
研究報告によると、体重1kgあたり3~57gという幅広い範囲で中毒症状が確認されています。
例えば、体重3kgの小型犬なら9~171g、体重10kgの中型犬なら30~570gの摂取で発症する可能性があるということです。
ただし、これはあくまでも報告例からの参考値であり、極少量でも重篤な症状を引き起こす可能性があります。
死亡事例の報告と研究結果
2001年にアメリカの研究者が43頭の犬のぶどう中毒症例を報告して以来、世界中で死亡例が確認されています。
日本でも2010年に3歳のマルチーズが種なしぶどう70gを摂取し、5時間後から嘔吐や尿量減少の症状を示し、4日後に死亡した事例が報告されています。
また、約230gのぶどうを食べたミニチュア・ダックスフンドは、幸い一命を取り留めたものの、その後2年間にわたり腎臓病の治療を継続する必要がありました。
これらの研究結果から、ぶどうの摂取量と症状の重症度には明確な相関関係がないことが判明しています。
レーズンやジュースなどぶどうの加工品も同様に危険
中毒症状を起こす危険があるのは、生のぶどうに限りません。
レーズンは水分が抜けて凝縮されているため、生のぶどう以上に危険性が高いとされています。
また、ぶどうジュースやワイン、グレープシード、ぶどう味のお菓子やゼリーなど、ぶどうを原料とする加工品すべてに注意が必要です。
特にパンやお菓子に使用されるレーズンは見落としやすく、人気のパン屋さんでよく見かけるレーズンパンやシュトーレンなども要注意です。
ぶどうエキスやグレープシードオイルなども含有量が少なくても危険な可能性があるので、原材料表示の確認を徹底しましょう。
犬のぶどう中毒の症状
犬のぶどう中毒は、摂取後から症状が現れるまでの時間経過によって、段階的に進行します。
早期発見・早期治療が重要となるため、どのような症状に注意すべきか確認しましょう。
初期症状
ぶどうを食べてから6~12時間以内に、消化器系の症状が現れ始めます。
もっとも多く見られるのが嘔吐で、ほぼすべての症例で確認されている症状です。
続いて、食欲不振や下痢、お腹を痛がる、元気がなくなるなどの様子の変化が見られるようになります。
これらの症状は軽度に見えても、重篤な腎障害の前兆である可能性が高いため注意が必要です。
たとえ少量の摂取でも、これらの症状が出た場合は直ちに動物病院を受診するようにしましょう。
重症化した場合の症状
重症化すると、24~48時間以内に急性腎不全の症状が現れ始めます。
具体的には、継続的な胃腸障害に加え、以下のような症状がみられるようになります。
- おしっこの量が減る・または出なくなる
- 口からアンモニア臭(呼気)がする
- 激しい腹痛(鳴く、おなかを丸めて動かない)
- 過度の喉の渇きにより水を干しがる
- だんだんと元気がなくなる
- 力が入らなくなる、脱力するようになる
腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物を濾過できなくなり、血液中に毒素が蓄積されていきます。
この段階まで進行すると、適切な治療を受けても死に至ってしまう可能性が高くなってしまうのです。
ぶどうを食べてしまった時の対処法
愛犬がぶどうを食べてしまった場合、迅速な対応が生死を分ける可能性があります。
まずは落ち着いて、以下の手順に従って対処しましょう。
ぶどうを食べてしまったらすぐにすべきこと
まず、食べた量と時間を可能な限り正確に記録してください。
そしてすぐに最寄りの動物病院に連絡し、状況を説明して指示を仰ぎましょう。適切な対応を獣医師から指示してもらえれば、動物病院へ連れていくまでの症状緩和に繋がります。
また、病院に向かう際は、食べ残しや吐いたものがあれば持参すると、より正確な診断の助けとなります。
自宅での応急処置のNG事項
自宅での誤った応急処置は、症状を悪化させる可能性があります。
とくに以下の行為は絶対に避けてください。
- 無理に吐かせようとしない
- 毒素の吸収を促進させる可能性があるため牛乳は飲ませない
- 腎臓への負担が増すため水を大量に飲ませることは控える
- 毒素を体内に留めてしまう可能性があるため、市販の下痢止めや嘔吐止めは使用しない
ぶどうを口にしてしまった場合は、様子見をせずすぐに獣医に診てもらうようにしましょう。
動物病院での治療内容
動物病院での治療は、ぶどうを摂取してからの経過時間と症状に応じて、以下のような処置をすることが多いです。
- 催吐処置
- 活性炭投与
症状が進行している場合は、胃洗浄や点滴治療などの処置がとられることもあります。
治療費については、催吐処置で約1万円、胃洗浄で約2万5千円、詳細な血液検査や入院治療を含むと10万円前後になることも少なくありません。
遅れるほどに、犬や飼い主の負担が増すこととなるので、早めに動物病院を受診しましょう。
誤食予防のための注意点
ぶどうの誤食を防ぐためには、飼い主さんの日頃からの注意と対策が重要です。
予防のポイントをしっかり押さえておきましょう。
日常生活での注意事項
ぶどうやレーズンを使用した食品は、犬の手の届かない場所に必ず保管してください。
特に、子供のおやつの食べこぼしには注意が必要です。
テーブルの上やキッチンカウンターの上など、安全だと思う場所でも「万が一」が起こる可能性はあります。
ゴミ箱は蓋付きのものを使用するなどの工夫も大切です。
家族全員がぶどうの危険性を理解し、うっかり与えることがないよう、共通認識と危険意識を持つことが重要です。
散歩時の注意点
散歩中のぶどうの誤食にも十分な注意が必要です。
特に夏から秋にかけては、公園や住宅の庭先でぶどうの栽培を目にすることが多くなります。
また山間の地域などでは、山ぶどうなど野生のぶどうが自生していることもあります。
地面に落ちたぶどうは腐敗が進んでいる可能性もあり、より危険です。
散歩コースに果樹園や家庭菜園がある場合は、リードを短めに持ち、地面の物を拾い食いしないよう注意深く観察しましょう。
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