2025.05.11 2025.05.11
この記事では、避雷針の設置費用について徹底解説します。
「避雷針の設置費用は高額?」
「建物の規模や避雷針の性能などで、どれくらい導入コストが変わる?」
「そもそも、どんな流れで設置するの?」
などの疑問を広く解消していきます。記事後半では、落雷時の身の安全や、各種電化製品・設備を故障から守る方法もご紹介。落雷への対策を検討中の方も、ぜひ最後までご覧ください。
目次
避雷針の設置費用はどのくらい?工事価格例
避雷針の設置にかかる費用は、設置する建物の規模や工事の内容によって異なります。新設工事、移設工事、修理工事のそれぞれにおける費用の目安は以下の通りです。
- 新設工事: 100万円~400万円程度
- 移設工事: 約40万円程度
- 修理工事: 約5万円程度
避雷針の設置費用は、規模や工事の複雑さによって大きく異なりますが、目安として上記の価格帯を参考にすると良いでしょう。
建築基準法における避雷針の設置義務
建築基準法では、特定の建物に対して避雷針の設置が義務付けられています。
具体的には、20m以上の建物や寺社、煙突、ガスプラント、広告塔などの工作物には避雷針を設置することが求められています。
ただし、20m以下の建物に設置義務がないからといって、落雷のリスクが完全にないわけではありません。特に、周囲に高い建物がない場合や標高900m以上の土地に建つ建物では、一戸建てでも避雷針を設置した方が安心です。これらの条件下では、落雷のリスクが高まるため、避雷針の設置を検討する価値があります。
簡易的かつコストを抑えて落雷対策を施したい場合は、後述する「避雷針の設置費用は高額!落雷対策3選【身の安全&電化製品や設備の故障防止】 」をご確認ください。
避雷針の設置費用に大きく影響する3つの要素
避雷針の設置費用は、様々な要素によって変動します。
- 建物の規模や種類
- 製品種類・グレード
- 新設か移設か
特に重要な3つの要素を取り上げ、それぞれがどのように費用に影響を与えるのかを解説します。
建物の規模や種類
建物の規模や種類は、避雷針設置の費用に大きな影響を与えます。住宅の種類によって必要な避雷針の数や工事内容が異なり、その分費用も変動します。
以下の表は、代表的な住宅種別における避雷針設置の費用目安です。
住宅種別 | 設置費用について |
---|---|
集合住宅 (アパート/マンション) |
・200~400万円 |
大型施設 | ・300~500万円 |
戸建て住宅 | ・100~200万円 |
戸建て住宅への避雷針設置について
戸建て住宅の場合、比較的小規模な工事で済むことが多く、設置費用は100万円~200万円程度が相場となります。設置の範囲や工事の難易度によって多少の差はありますが、基本的には住宅の規模に合わせた避雷針設置が行われます。
マンション・大型施設への避雷針設置について
マンションや大型施設では、避雷針の設置費用が大きく膨れ上がることがあります。特に、大規模な集合住宅の場合、SPD(サージプロテクションデバイス)を多数設置する必要があり、これが大きなコスト要因となります。
設置する避雷針の数や必要な設備が増えるため、費用も200万円~400万円程度と高額になることがあります。マンションや大型施設でコストを抑えるための選択肢として、PDCE避雷針も検討することができます。PDCEは一般的な避雷針よりも設置が簡便で、コストパフォーマンスに優れた選択肢として人気があります。
製品種類・グレード
避雷針の設置において、選ぶ製品の種類やグレードは費用に大きく影響します。市場にはさまざまなタイプの避雷針があり、それぞれに特徴と価格帯があります。
避雷針の種類 | 設置費用の相場 |
---|---|
フランクリン型 (従来型) |
数万〜20万円 |
PDCE避雷針 | 40万円〜 |
消イオン容量型避雷針 | 取扱企業に問い合わせ |
なお、ESE避雷針(Early Streamer Emission避雷針)もありますが、日本ではあまり普及していません。
フランクリン型(従来型)
フランクリン型避雷針は、従来から広く使用されている避雷針の代表的なタイプです。シンプルでコストパフォーマンスに優れ、多くの住宅や施設で使われています。
価格は比較的安価で、数万円から20万円程度で設置が可能です。設置が簡単で、耐久性も高く、普及率が高いのが特徴です。
PDCE避雷針
PDCE(Plugged Direct Current Electrode)避雷針は、最新の技術を使用した高性能な避雷針です。特にマンションや大型施設など、より高い防護が求められる場所で使用されることが多いです。
このタイプは、従来の避雷針よりも高い性能を持ち、40万円以上の費用がかかることが一般的です。設置後の安全性が高く、特に多階建ての建物での使用に適しています。
消イオン容量型避雷針
消イオン容量型避雷針は、雷のエネルギーを効率的に吸収し、放出するタイプの避雷針です。このタイプの避雷針は、非常に高い防護能力を持ちますが、費用も高額になることが一般的です。
具体的な価格については、取扱企業に問い合わせる必要がありますが、高度な技術を駆使しており、特殊な施設や落雷高リスクのエリアで使用されます。
新設か移設か
新設工事と移設工事では、費用が大きく異なります。
新設工事は、完全に新しい避雷針の設置を行うため、設置環境や規模によってコストが高くなることがあります。特に、建物の構造や設置場所が複雑な場合、工事の難易度が上がり、追加費用が発生することがあります。
一方、移設工事は、既に設置されている避雷針を別の場所に移す工事です。移設の場合、比較的低コストで済むことが多く、費用は40万円程度が相場となります。
ただし、移設に際して追加の工事が必要な場合があるため、事前に見積もりを確認しておきましょう。
避雷針の設置費用に含まれる具体的な工事内容4つ
避雷針の設置にはいくつかの工事内容が含まれています。以下は、主な工事内容です。
- 接地工事
- 避雷針取り付け
- アース線配線工事
- 設置抵抗の測定
なお、必要に応じて建柱工事や支持菅取付、窒素爆防工事も行われますが、以下では代表的な4つを紹介します。
接地工事
避雷針が落雷時に受ける大きな電流を安全に地面へ流すためには、接地工事が欠かせません。接地工事では、銅板などの導体を地中に埋め込み、避雷針から流れた電流を地面に効率よく放電できるようにします。
この接地部分の抵抗値は、10Ω以下にしなければならず、非常に小さな値に設定する必要があります。これにより、避雷針が受ける雷のエネルギーが地面に安全に流れ、建物や周囲の人々を守ります。
避雷針取り付け
避雷針の取り付けは、建物の屋根や高い位置に設置されるため、高所作業が伴います。一般的に、戸建て住宅では屋根の先端部分に取り付けられることが多く、安定した設置が求められます。
避雷針は、雷を受け止めるための重要な役割を果たすため、しっかりと固定し、耐久性の高い材料で設置する必要があります。これにより、落雷時に安全かつ効果的に電流を地面へと誘導することができます。
アース線配線工事
避雷針が受ける電流を地面に放電するためには、アース線を使って避雷針本体から地中の接地部分に電流を流します。アース線は、雷の大電流に耐えられる強度を持ち、かつ長期間にわたって安定して機能するものでなければなりません。
アース線は避雷針本体から引き下げられ、接地部分である銅板や導体にしっかりと接続されます。アース線の配線は、電気工事の技術が必要で、しっかりと施工しなければ雷の電流が安全に流れません。
接地抵抗の測定
接地工事の最終工程として、接地抵抗の測定が行われます。この測定には「接地抵抗計」または「アーステクター」と呼ばれる専用の機器を使用します。接地抵抗値が10Ω以下であることが確認できれば、避雷針設置工事は完了となります。
避雷針の設置費用を知るための見積もりの取り方
避雷針の設置費用を正確に把握するためには、以下のポイントを押さえた見積もりを取りましょう。
- 複数の業者に見積もりを依頼
- 工事内容の詳細を確認
- 追加料金やオプションの有無を確認:
これらのポイントを踏まえて見積もりを取ることで、正確な費用感を把握でき、安心して工事を依頼できます。
避雷針の設置費用は高額!落雷対策3選【身の安全&電化製品や設備の故障防止】
避雷針の設置は効果的な落雷対策ですが、設置費用が高額であるため、手軽で安価にできる方法もあります。ここでは、避雷針を立てずに実施できる落雷対策をいくつか紹介します。
サージプロテクターを使用する
最も手軽な方法の一つは、サージプロテクターを使用することです。
サージプロテクターは、雷による過電流やサージ電圧から家電製品や重要な機器を守るためのデバイスで、特にパソコン、テレビ、冷蔵庫などの高価な電化製品への設置がおすすめです。落雷時の電圧変動を吸収し、機器の故障や破損を防ぐことができます。
価格は1,000円〜3,000円ほどで、設置も非常に簡単です。手軽に導入できるため、コストを抑えながら落雷から家電を守ることができます。
雷サージ防止機能を取り入れる
既存の電気設備に雷サージ防止機能を追加する方法もあります。特に古い家屋では、サージ対策が施されていないことが多いです。
雷サージ防止機能は、家庭内の電力供給ラインに取り付けるもので、落雷による過電流を防ぐ役割を果たします。サージ防止機器の設置には、通常数千円〜数万円程度の費用がかかりますが、家全体を守ることができます。
家屋の金属部分をアースする
家屋の金属部分をアースすることも、落雷対策として有効です。金属部分は雷が落ちやすいため、これを地面と接続しておくことで、雷の電流を安全に地面に流すことができます。
例えば、屋根の金属部分や金属の配管をアース線で接続し、地面に流すことにより、雷が直撃しても建物内の人々や電化製品が守られます。
避雷針の設置費用は見積りでまず確認!プロに工事価格から相談を
避雷針の設置は、まずプロに相談してみましょう。建物の大きさや状況によって費用が異なるので、一度見積もりを出してもらい、確認してください。
どのような業者に依頼すべきかわからない場合は、セーフリーをご活用ください。数ある電気工事業者の中から、エリアで絞り込みも可能で、避雷針などの落雷設置に対応している業者も見つけられます。
大型施設・集合住宅の
電気工事も
電気のプロにまずは相談!
避雷針の設置費用に関するよくある質問
-
Q. 避雷針の設置にはいくらくらいかかりますか?
A.100~400万円程度かかります。
-
Q. 戸建てやマンションで料金は変わりますか?
A.数百万円単位で変動します。
-
Q. 避雷針の設置はどんな流れで進みますか?
A.おおまかには下記4つのステップで進みます。
- 接地工事
- 避雷針取り付け
- アース線配線工事
- 設置抵抗の測定
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