2025.05.03 2025.05.03
この記事では、特殊伐採の費用相場を解説します。
大きくなりすぎた木、電線にかかりそうな木など、通常の伐採とは作業内容が異なるのが「特殊伐採」。ただし、通常の伐採よりも費用が高くなりやすいのも事実です。「いったいいくらかかるの?」「どんな業者に依頼すればいい?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
そのため、今回は特殊伐採が必要なケースから、費用の内訳、計算方法まで詳しくご紹介します。記事後半には、特殊伐採を安く抑える方法も触れているので、最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。
目次
特殊伐採とは?作業内容・必要なケース【費用相場チェック時の前提知識】
高所にある大木を安全に段階的に伐採する「特殊伐採」は、住宅密集地や寺社の境内など、限られたスペースでの作業に欠かせない技術です。
作業者が木に登り、上部から少しずつ切り落としていくため通常の伐採よりも手間がかかる反面、建物や人への被害を極力抑えられます。
ツリークライミング工法やリギング、クレーン操作といった専門技術を組み合わせながら、環境に応じた柔軟な対応が求められるため、費用相場を確認する前にまず特殊伐採の内容を理解しておきましょう。
特殊伐採と通常伐採の違い
特殊伐採と通常伐採は、作業方法・目的・安全性の面で大きな違いがあります。木を「倒す」か「分割して下ろす」かという点が最も大きな違いです。
以下の表に、両者の特徴を簡単にまとめました。
通常伐採 | 特殊伐採 | |
---|---|---|
作業方法 | 根元から一気に伐り倒す | 上から段階的に切り落とす |
使用重機 | チェーンソーなど | ロープ、滑車、クレーン、高所作業用具など |
安全性 | 周囲に十分な空間が必要 | 狭い場所でも安全性を確保しやすい |
対応場所 | 空き地・農地など広い場所 | 住宅街・寺社・ビル間など制限の多い場所 |
作業スピード | 比較的早く終わる | 慎重な作業で時間がかかる場合もある |
通常伐採では伐った木がそのまま倒れるため、広いスペースが必要です。一方、特殊伐採では「ツリークライミング工法」を用いて作業者が木に登り、必要に応じて「リギング技術」でロープを使い枝や幹を吊り下ろします。
加えて、場所によってはクレーンを併用することで大木の安全な移動や搬出が可能です。複合的な技術が使われる点が特殊伐採の特徴であり、費用にも反映されます。
特殊伐採が必要なケース
特殊伐採が必要になる場面は、「木を倒すスペースがない場所」「人力による作業が必須な場所」に限られます。
- 住宅の裏庭に伸びすぎたシンボルツリー
- 電線にかかるように育った大木
- 神社仏閣の境内や歴史ある日本庭園における伐採
- 都市部の建物密集地
住宅の裏庭に伸びすぎたシンボルツリーや、電線にかかるように育った大木は、根元から伐採すると家や隣接する建物に被害が及ぶ可能性があるため、安全な伐採が求められます。
また、神社仏閣の境内や歴史ある日本庭園では重機の使用が困難な場合も多く、必然的に「人力」による伐採が選ばれるでしょう。
都市部の建物密集地でも、クレーンを利用した特殊伐採が採用されるケースがあります。このように、特殊伐採はその場の環境に応じて人力・機械力・ロープ技術を自在に使い分けて対応できる柔軟な手法です。
特殊伐採の費用相場【内訳・計算方法について】
特殊伐採の料金は木の高さや本数、作業環境によって大きく変動します。安全性が求められる作業だからこそ、見積もりの内訳を正しく理解しておきましょう。
ここでは基本料金の考え方や、追加費用の種類について詳しくご紹介します。
費用の決まり方
特殊伐採の基本的な費用は木の「高さ」と「本数」が中心となります。
3m未満であれば1本あたり1〜2万円台ですが、5〜7mを超えると4万円以上になるケースもあるでしょう。7m以上の高木になると作業の難易度が増すため、料金は別途見積もりになるのが一般的。
加えて「リスク係数」と呼ばれる周辺環境の複雑さも料金に反映されます。
周辺環境の状況 | リスク係数の例 |
---|---|
建物や障害物がまったくない広々とした土地 | 0.5 |
屋根や電線が近くにあり、機材の動きが制限される場所 | 1.0 |
家屋や電線が密集し、伐採作業に十分な空間がない地域 | 2.0 |
民家や電線が密集している場所では作業が慎重になり、リスク係数2として倍額になるケースも。さらに、腐りや枯れがある木も安全に伐採するために追加費用が必要となる場合があります。
料金は「木の高さ×本数×リスク係数」でおおまかな計算が可能です。
例として、3mの木を密集地で1本伐採するなら、16,000円前後の基本費用がリスク係数2で約33,000円になる計算です。
特殊伐採に付随する作業費用
伐採費用のほかにかかる追加料金も見逃せません。代表的なのは「処分費用」で、伐った木をトラックに積んで処理場へ運ぶ場合、以下の料金が相場です。
- 2t車1台→約2万円
- 4t車→約3.5万円
また、クレーンや高所作業車などの「重機費用」も高額になりやすく、1日あたり数万円の追加も考えられます。
遠方作業では「出張費」が発生し、道路の使用許可や安全対策に関する「オプション費用」も加算されることがあります。作業員の増員が必要になれば「人件費」も上乗せされ、最終的な総額は見積もり以上になることもあるため注意が必要です。
こうした費用の内訳を確認せずに依頼してしまうと、後から想定外の請求が来るかもしれません。見積もり時に納得いくまで業者に確認し、依頼するか検討しましょう。
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特殊伐採の事例と費用【伐採費用+処分費用】
特殊伐採は現場ごとに環境や木の状態が大きく異なるため、費用も一律ではありません。
ここでは、いくつかの特殊伐採の事例とともに、それぞれにかかった伐採費用・処分費用の目安をご紹介します。依頼を検討する際の参考として、リアルな相場感を掴んでおきましょう。
一般住宅の庭木(約5m)を1本伐採したケース
築30年の住宅に隣接する庭に生えていた高さ5メートルのシンボルツリーが、倒木の危険から撤去対象となった事例です。
民家と電線が近く倒すスペースがなかったため、作業員がロープで木に登って上部から少しずつ伐採していきました。人力によるツリークライミングと滑車を使ったリギングでの作業で、伐採費用は約4万2,000円。
伐った木の幹と枝を2tトラックで搬出する処分費が2万円ほどかかり、総額は約6万2,000円となりました。
墓地内の枯れ木(約7m)を伐採・処分したケース
都内の寺院にある墓地で、風化した石碑のすぐ脇に立っていた枯れ木を撤去した事例です。
木の状態が悪く少しの衝撃で折れる恐れがあったため、作業は慎重に行われました。重機が入れないためすべて人力でのロープ伐採が採用され、作業員3名で丸1日を要しました。
腐食した木であるため伐採の難易度も高く、費用は約10万円。枝や幹の一部は崩れていたため、搬出には4tトラックが必要となり、処分費として3万5,000円が追加されました。合計費用は約13万5,000円です。
クレーン車を使用した神社境内の高木伐採(約10m)
神社の境内にそびえる10メートル超の大木を撤去した案件では、クレーン車とダンプカーを使用し安全に幹を切り落としました。参道や建物との距離が近いため、地上からの伐倒は不可能で先にクレーンで枝を固定しながらの伐採となりました。
作業は2日間にわたり伐採費用は約18万円、さらに丸太や葉の処理費用として4万円が加算され、総額は22万円前後となりました。
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特殊伐採はどこへ頼む?業者選びのポイント【費用相場がわかったら】
特殊伐採の費用相場を把握したら、次は「誰に依頼すべきか」を考える段階に入ります。安全性と技術力が求められる作業だからこそ、金額の安さだけで判断するのは危険です。
ここでは、信頼できる業者を選ぶポイントを3つの視点からご紹介します。
口コミ評判の良い業者を選ぶ
インターネットやSNSなどで業者名を検索すると、実際に依頼した人の体験談や評価を確認できます。特殊伐採は目に見える成果が大きい作業なので、満足度が高いかどうかは口コミからある程度判断できるでしょう。
「対応が丁寧だった」「予定どおり安全に作業してくれた」といった声が多い業者は、現場でも信頼できる可能性が高いです。一方で、見積もりと最終金額に差がある、作業が雑だと指摘されている業者は注意しましょう。
評価の数だけでなく、内容までしっかりチェックしてください。
実績豊富な業者に依頼する
特殊伐採は高度な技術が求められる作業です。たとえ庭木の1本でも、家屋や電線の近くであれば現場経験が豊富でなければ対応できません。
そのため、業者選びでは「これまでにどのような現場で作業したか」「どれだけの規模の案件を扱っているか」など、実績を確認しましょう。過去の施工事例を写真付きで公開している業者も多く、そうした実績が明示されていれば依頼前の不安も軽減できます。
また、寺社や公共施設での作業経験がある業者は高難度の現場に慣れている傾向があるため、より安心して任せられるでしょう。
資格の保持・賠償保険に加入している
特殊伐採で必要な国家資格はないものの、安全性を重視するなら技能研修や教育を受けている業者を選ぶと良いです。
- 伐木等の業務に係る特別教育
- フルハーネス型安全帯特別教育
- ロープ高所作業特別教育
上記のような高所作業に関する資格があれば、一定の知識と実技をもっている証。加えて、重機を扱う現場では以下の資格をチェックしてみてください。
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 玉掛け技能講習
さらに、万が一に備えて「賠償責任保険」に加入しているかも確認しましょう。作業中に建物や車を破損させてしまった場合、無保険の業者だと修理費の負担を依頼者が背負う可能性があります。
優良業者であれば保険の加入状況や、保険金額についても明示してくれるケースがあります。見積もり時に遠慮なく聞いてみてください。プロ意識の高い業者ほど、こうした安全体制は徹底しています。
特殊伐採の費用を安く抑えるコツ
特殊伐採は高度な技術と専門道具を要するため、どうしても費用が高くなりがちです。しかし、工夫次第で費用を抑えることも可能です。
費用面の負担を軽減する具体的な方法を2つご紹介します。
伐採した木を買取に出す
伐採後に出る木材を「ゴミ」として処分するのではなく、素材として活用できる業者に買い取ってもらえば、費用の一部を相殺できる可能性があります。
ケヤキやサクラ、クスノキなどは木工材料や薪、チップ材として需要があるため、良い状態であれば高く評価されるかもしれません。
あらかじめ木の種類を確認し、買取対応している伐採業者を選べば、処分費用が浮くだけでなく場合によっては買取金額が作業費用の一部をカバーしてくれますよ。
複数業者の見積もりを比較する
特殊伐採の費用は業者によって大きく異なるため、1社の見積もりだけで決めてしまうのはおすすめできません。
同じ木の伐採であっても、作業人数の配置や重機の使用有無、処分方法の違いによって金額に差が出るため、最低でも2〜3社から見積もりを取って比較検討しましょう。
各業者の見積もり項目を細かく比較すれば、不要なオプションが含まれていないか、価格に見合った作業内容か見極めやすくなります。金額の安さだけでなく作業実績や資格保持、保険の有無なども総合的に判断し、信頼できる業者を選びましょう。
特殊伐採時に確認すべき事項【費用相場前に確認】
特殊伐採を依頼する前に、確認しておくべき法的・環境的なポイントがあります。木の場所や周囲の状況によっては、届出や隣地との調整が必要になる場合もあるため、この機会に覚えておきましょう。
自治体や国へ届け出が必要か
個人の敷地内であっても、木の伐採に行政の許可が必要となるケースがあります。神社や公園、学校敷地などは都市計画区域や文化財保護法、景観条例、緑化保全条例といった条例や法令の対象となる場合があり、伐採には市町村への事前届出や許可が求められることがあります。
また、国が指定する保安林や自然保護区域に指定されている土地では、伐採行為そのものが制限されているケースもあるため注意。樹木の種類や場所によって条件が異なるため、不明な点は自治体の環境課などに問い合わせて確認しておくと安心です。
隣地との境界線をはっきりしておく
伐採対象の木が隣家との境界付近に植えられている場合は、所有権を確認します。幹が敷地をまたいで育っている、越境した枝葉が隣地に伸びている場合は、伐採に関するトラブルのもとになりかねません。
特に「共有樹木(複数の人が共有している樹木のこと)」とみなされるケースでは、勝手に伐採すると民法上の問題になる場合も。作業前に土地の境界を明確にし、必要であれば隣家の了承も得た上で進めるとトラブルを回避できるでしょう。
近隣への騒音や安全面を配慮する
特殊伐採ではチェーンソーや重機を使用するため、大きな音や振動が発生します。また、高木を扱う作業である以上、万が一の事故や落下物による被害リスクも否定できません。
作業日が決まったら、近隣住民にあらかじめ説明、挨拶しておきましょう。また、道路に面した場所で作業する場合、通行人や車両に対する安全対策も必要です。
必要に応じてガードマンの手配や道路使用許可の取得が求められるケースもあるため、業者とよく相談しながら配慮してください。
特殊伐採の費用を少しでも抑えるなら業者を徹底比較しよう!
本記事では、特殊伐採の費用相場や必要なケース、実際の費用事例などについて紹介しました。安く抑える方法についてもお分かりいただけたかと思います。
ロープやクレーンなどを使用する特殊伐採は、通常の伐採作業よりも内訳が複雑になるかもしれません。そのため、複数業者の内訳をしっかり確認しながら、納得のいく一社を選びましょう。
セーフリーでは、特殊伐採に対応する業者を多数掲載しています。フィルターしながら気になる業者を3社程度ピックアップし、無料見積もりで比較してみましょう!
- 敷地の高木が今にも倒れそう…
- 木が大きくなりすぎて困っている
- 隣の家に木の枝が侵入している
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特殊伐採の費用に関するよくある質問
-
Q. 特殊伐採の費用はどうやって決まる?
A.特殊伐採の費用は「木の高さ×本数×リスク係数」で大体決まります。重機の使用や特殊なケースも多いので、相場は特に決まっていません。
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Q. 特殊伐採の費用を抑えるには?
A.特殊伐採の費用を抑えるなら、複数業者に見積もりを依頼するのが最も確実です。見積もりを比較し、安く依頼できる優良業者を見極めましょう。
-
Q. 特殊伐採はどういうケースで必要?
A.特殊伐採は以下のケースで必要です。
- 住宅の裏庭に伸びすぎたシンボルツリ
- 電線にかかるように育った大木
- 神社仏閣の境内や歴史ある日本庭園における伐採
- 都市部の建物密集地
他にも人力による伐採が必要なケースはあるので、まずは業者に見てもらうと良いでしょう。