2025.09.03 2025.09.03
この記事では、軒天(のきてん、軒裏天井)の塗装について徹底解説していきます。
普段そこまで気にすることがない軒天ですが、劣化のサインを放置してしまうと雨漏りなど重大な被害が発生しやすくなります。軒天が役割をしっかり発揮するためには、定期的な塗装が欠かせません。
ここでは、そんな軒天の塗装による屋根耐久性や建物見栄えへの影響、また気になる塗装費用まで詳しく解説していきます。
記事後半では、建物外壁の塗装や屋根全体の塗装を業者依頼した際の、軒裏天井〜軒下・軒先の扱い、よくある施工例・対応範囲についてもご紹介。塗装依頼を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
軒天の塗装は実際必要?軒裏の素材別に徹底検証
軒天は、建物内へ雨水が侵入するのを防ぐだけでなく、延焼を抑制したり天井裏の換気をスムーズにしたりする役割があります。また、見た目を美しくする役割も担っています。
軒天は定期的に塗装し、正常に機能できるようにしておかなければなりません。経年劣化で塗膜が剥がれると軒天の素材そのものが劣化してしまい、軒天本来の役割を果たせなくなってしまうためです。
軒天では、主に以下の素材が使われます。
- 不燃材系
- 木材系
- 金属系
それぞれについて、以下で詳しくご紹介します。
不燃材系
ケイ酸カルシウム板、いわゆる「ケイカル板」に代表される不燃材系は、耐火性はもちろん耐久性や耐水性にも優れているのが特徴です。一昔前までは繊維強化セメント板が多かった一方、現在ではケイカル板の軒天を採用する住宅が多くなっています。
水酸化カルシウムや砂などが混ざったケイカル板は、経年劣化すると色褪せなどの症状が出てきます。10年を目安に定期的に塗装し直せば、素材そのものの経年劣化を防いで長く使っていける素材です。
木材系
ベニア板や合板などの木材系は、木目調の風情ある見た目が魅力。かつて多かった木造住宅では、木材系の軒天が多く使われていました。
木材系の軒天は、耐火性や耐水性が低い点がデメリットです。木材だけでは特にデメリットが際立ってしまうため、塗装が欠かせません。
塗装が剥がれるなどの症状が出ると木材がどんどん劣化して張り替えが必要になる場合も出てくるため、3~5年ごとに塗り直す必要があります。
金属系
耐久性や耐食性に優れている金属系の軒天では、ガルバリウム鋼板などが主流です。現在の軒天に被せて施工するだけで耐久性や耐食性を上げられるのがポイントですが、不燃材系・木材系と同様に経年劣化してしまいます。
金属系の軒天が経年劣化すると、サビて腐食が広がります。耐久性はもちろん見た目の美しさも損なわれてしまうため、10~20年ごとに塗装し直して性能と美観を保たなければなりません。
軒天を塗装すべきタイミング・劣化サインはこれ!4つのチェックポイント
どのような素材の軒天であっても、定期的な塗装が必須です。ただし、塗り直しの時期でなくても以下の症状が見られる場合はすぐに塗装する必要があります。
- 色褪(あ)せている
- 表面がはがれている
- シミができている
- カビや藻が発生している
上記は、よくある経年劣化のサイン。サインを見逃して塗装せずにいると、素材そのものが傷んでしまいます。塗装のタイミングを見逃さないために、各サインについてご紹介します。
色褪(あ)せている
経年劣化により色褪せてくると、防水性が低下してしまいます。軒天は太陽光を直接受けるわけではありませんが、地面からの照り返しなどにより光を受け、塗膜が薄くなって色褪せてしまう仕組みです。
今すぐに塗装し直す必要があるわけではありませんが、色褪せは劣化の症状が進んでいるサイン。早めに塗り直しを検討して、軒天の素材を守るのがオススメです。
表面が剥がれている
塗装表面が剥がれてきているなら、劣化症状は進行していると考えましょう。塗膜が剥がれると防水性は著しく低下するため、建物に雨水が侵入しやすくなります。
剥がれが広がると、軒天の素材がどんどん劣化してしまいます。できるだけ早めに、塗装しましょう。
シミができている
シミができているということは、雨漏りしている可能性が高いです。軒天が腐食して雨漏りしているなら、塗装のし直しだけでは対処できない場合もあります。状況によっては、軒天を一度撤去して再度設置しなければならない場合もあるでしょう。
シミを見つけたら、拡大する前にできるだけ早く専門業者に相談するのがオススメ。塗装で対処できる状況かどうかも、業者と一緒に検討しましょう。
カビや藻が発生している
カビや藻は、水分がなければ発生しません。軒天部分でカビや藻が発生しているなら、湿気が溜まり換気がスムーズにできていないサインです。
状況を改善しなければ軒天の劣化が進んでしまうため、早急に業者に相談しましょう。
お住まいのエリアから
ピッタリの業者が見つかる
軒天塗装の施工手順と主な使用塗料【カラー検討・DIYの参考にも】
ここからは、実際の施工手順や塗料についてご紹介します。
- 軒天で使われることが多い塗料
- 色選びのポイント
- 塗装手順(業者・DIY)
カラーの検討やDIYを検討しているなら、ぜひ参考にしてください。
軒天で使われることが多い塗料
軒天の塗装で使われるのは、主に以下の塗料です。
- EP(エマルションペイント)、AEP(アクリルエマルションペイント)
- NAD(非水分散形塗料)
EP、AEPは水性塗料で、「エマルション」とは混ざりあわない液体同士がバランスよく乳化している状態を指す言葉です。
近年ではAEPを使用するのが一般的で、安価で発色が良いのが特徴。DIYでも活用しやすい塗料ですが、耐水性や耐久性は高くありません。
一方のNADは、耐水性や接着性、耐久性が高い塗料。外壁や屋根の塗り替えに使われるケースが多いのが特徴です。
ただし、外壁と軒天の素材が同一の場合、AEPやNADではなく外壁と同じシリコン系やフッ素系の塗料を使うのが一般的です。
色選びのポイント
軒天の塗装では、色選びも大きなポイント。一般的には、ホワイトやクリームなどの明るい色を選ぶケースが多いです。軒天が明るい色だと、建物全体が明るく見えるのが魅力です。
汚れが気になるなら、ブラックやネイビーなどの色も良いでしょう。暗い色を使うと、建物全体が引き締まって見えます。軒天の素材そのものの良さを生かすなら、クリアカラーを選ぶのもオススメです。
色選びにルールはありませんが、建物全体のバランスを見るのがポイント。
外壁色とのマッチ具合を見て、気にいる色を選びましょう。
塗装手順(業者・DIY)
軒天の塗装は、業者に依頼する場合でもDIYする場合でも基本的に手順は同じです。
- 足場を組む
- テープやシートで養生する
- 下地処理をする
- 下塗りをする
- 中塗りをする
- 上塗りをする
塗料をしっかり密着させるためには、下地処理で汚れをしっかり落とすのが重要です。高圧洗浄機を使い、丁寧に汚れを除去しましょう。
塗料は、下塗り・中塗り・上塗りと3回に分けて塗っていきます。それぞれ丁寧に塗ってしっかり乾燥させるのが、大切なポイントです。
軒天は、手が届かない高所にあるケースがほとんど。足場を組むなどして落下のリスクを抑えての作業が必須です。しかし、高所作業での軒天塗装は簡単ではありません。
お住まいのエリアから
ピッタリの業者が見つかる
軒天塗装の施工例3選!屋根全体の塗装・外壁塗装時のケースも
軒天塗装では、以下のようなケースがあります。
- 屋根の塗装時に裏側の軒天まで
- 建物外壁・周囲の塗装時に上部の軒天まで
- 気になる軒天だけを塗装依頼
自宅の状況と照らし合わせ、どのように施工するのかを決めていきましょう。
屋根の塗装時に裏側の軒天まで
軒天塗装は、屋根の塗装と合わせて施工するケースが多いです。同時に施工すれば、足場代が節約できるだけでなく作業効率も高くなります。
また、まとめて塗装すると、統一感のある塗装で美しく仕上がるのもメリットです。
建物外壁・周囲の塗装時に上部の軒天まで
外壁などと同時に軒天を塗装するメリットは、建物全体で統一感のある仕上がりになる点です。また、長期的なメンテナンスの視点に置いては、塗り直し時期が同じになるため管理がラクになります。
外壁と軒天を一緒に塗装すれば、建物全体として雨水や湿気などへの耐久性が高くなる点もポイント。さらに、足場設置の費用が節約できるため、コスパが良い点も大きな魅力です。
気になる軒天だけを塗装依頼
メンテナンス時期ではないものの劣化症状が気になるなどで、軒天だけを塗装するケースです。気になる部分だけの施工となるため、出費を最小限に抑えられるのがメリットとなります。
軒天だけの塗装では、建物の外壁から突き出している部分の裏側すべてが施工範囲になるのが一般的です。ただし、気になる一部分だけの補修塗装が可能な場合もあります。
軒天の塗装はいくらくらい?業者施工単価をチェック!
軒天塗装では、1m²あたり800~1,500円ほどが相場です。軒天の状況や使用する塗料の種類によって、費用は変動します。
また、足場設置には1m²あたり600~800円ほどかかるのが一般的。足場費用も高くなりがちなので、屋根塗装や外壁塗装と合わせて依頼するのが良いでしょう。
ちなみに、外壁塗装や屋根塗装時には、「付帯部分」として軒天が施工範囲に含まれるケースもあります。定期的な塗り直しは、屋根や外壁をまとめて依頼しておくのがオススメです。
屋根塗装の費用については、以下の記事をお役立てください。
さらに詳しく知りたい方はこちら
屋根塗装の費用は40~60万円が相場!塗料や屋根材別の相場も解説
2025.01.01 2025.04.08
軒天まで塗装しよう!安全面からもプロ依頼が基本!
建物を守る大切な役割を担う軒天は、定期的に塗り直しなどのお手入れしていかなければなりません。
塗装による耐水性や耐久性を最大限活かすためには、プロの業者に依頼するのがベスト。屋根や外壁塗装とあわせて依頼すると、足場代を節約できるのでオススメです。
業者に依頼する際は、複数社を比較検討して納得できる依頼先を見つけましょう。
- 軒天の劣化が気になる…
- 軒天の塗装方法が知りたい
- 安全に塗装する方法を知りたい!
軒天の塗装は危険!
劣化などが気になったら
まず業者に相談を!
軒天(軒裏天井)の塗装に関するよくある質問
-
Q. 軒天の塗装は必要?
A.軒天は経年劣化するため、定期的に塗装をして素材を守る必要があります。
-
Q. 軒天の塗装にはいくらかかる?
A.軒天の塗装では、1m²あたり800~1,500円ほどが必要です。また、足場設置で1m²あたり600~800円ほどが別途必要になります。
-
Q. 軒天を塗装すべきタイミングは?
A.軒天を塗装すべきタイミングでは、以下が挙げられます。
- 色褪せている
- 表面が剥がれている
- シミができている
- カビや藻が発生している