店舗の電気工事

店舗の電気工事とは?工事の進め方や注意点・費用について

2024.07.07 2024.09.03

 

店舗の電気工事は、一般家庭の電気工事と異なり規模が大きく複雑です。そんな店舗の電気工事を依頼する際に、「何を依頼すればいいのか」「どの業者を選べばいいのか」迷ってしまうかもしれません。

この記事では、店舗の電気工事の流れや内容について解説します。店舗運営をされている方は、記事を参考にしながら電気工事の計画を立てていきましょう。

 

店舗の電気工事とは?【目的・種類について】

店舗の電気工事

まずは、店舗の電気工事の目的と種類について解説します。目的や種類を理解し、スムーズに工事を進めていきましょう。

電気工事の目的

店舗の電気工事の主な目的は、安全で効率的な電気設備の構築です。適切な電気工事は、火災や感電などのリスクを軽減し、店舗の安全性を高めます。

また、照明や空調などの設備を使用し、快適な店内環境で顧客満足度を高めるために欠かせません。電気工事は店舗の安全性、快適性、経済性を向上させる重要な役割を果たします。

電気工事の種類

店舗の電気工事には、新設工事や改修工事、増設工事などがあります。新設工事は、新規店舗のオープンに伴い、一から電気設備を設置する工事です。

改修工事は、既存の電気設備を更新または修繕する工事で、店舗のリニューアルや設備の老朽化対策として進められます。

増設工事は、設備の拡大に伴い、既存の電気設備に新たな機器や回路を追加する工事。キッチン機器の増設や、ネットワーク環境の強化などが増設工事に該当します。

各工事の特性を理解し、店舗のニーズに合わせて適切な工事を選択することが重要です。

電気工事に必要な資格

電気工事するためには、電気工事士の資格が必要です。

第一種電気工事士は、すべての電気工事を担当できます。第二種電気工事士は、一般家庭や小規模店舗の配線工事を担います。

資格を持つ専門家が工事することで、安全で質の高い電気設備を実現できます。

また、電気工事業を営む際は、電気工事業の登録が必要。店舗オーナーは、業者選定の際に必ず登録や資格の確認をしましょう。

店舗の電気工事の流れ・進め方について

店舗の電気工事の流れは、以下の通りです。

  1. 電気工事の目的・予算を決める
  2. 電気工事の業者を選ぶ
  3. 電気工事を依頼する
  4. 電気工事の進捗を確認する
  5. 立ち合い検査・引き渡し

安全に電気工事を行うために、それぞれの手順を解説します。

1.電気工事の目的・予算を決める

電気工事は、明確な目的と予算の設定が必要です。店舗の電気工事には、安全性の向上や省エネ効果の実現、店舗の雰囲気づくりなどの目的があります。

これらの目的を明確にし、工事内容に優先順位をつけましょう。

同時に、工事にかけられる予算を決定します。予算は、店舗の規模や工事の内容によって大きく変わりますが、一般的な電気工事費は100〜300万円程度。

目的と予算を明確にすることで、効果的かつ効率的な電気工事の計画を立てられます。

2.電気工事の業者を選ぶ

適切な電気工事業者の選定は、工事の成否を左右する重要なポイントです。

業者選びの基準として、資格の保有状況や実績、評判などがあります。特に、第一種電気工事士の資格をもつ技術者がいることは、高度な電気工事を安全にする上で欠かせません。

また、現地調査と見積もりも重要です。実際に業者に現場を見てもらい、見積もりを取ることで追加費用の発生を防止し、適切な工事を依頼できます。

3.電気工事を依頼する

電気工事を依頼する際は、詳細な打ち合わせをしてから契約を締結します。

打ち合わせでは、工事の目的や内容、スケジュールや予算などを具体的に確認しましょう。契約書には、上記の他に保証内容などを明記すると、トラブル防止の抑止力になります。

例えば、工事完了後の保証期間を1年以上設けることで、配線のトラブルなどが起きた際もすぐに対応してもらえます。また、支払い条件も明確にし、前払い金の割合や支払いスケジュールを決定しましょう。

4.電気工事の進捗を確認する

電気工事の進捗確認は、品質管理と工期遵守の観点から重要です。定期的な現場視察や業者との打ち合わせを通じ、工事の進行状況を把握しましょう。

特に、壁や床に配線を通す際など、後から修正が難しい工程については、注意深く確認します。進捗確認の頻度は、工事の規模や複雑さによって異なりますが、週1回程度が一般的です。

5.立ち合い検査・引き渡し

電気工事の最終段階である立ち合い検査と引き渡しは、安全性と品質の確認において特に重要です。

立ち合い検査では、電気設備の安全性や機能性、外観などを総合的にチェックします。具体的には、業者立ち会いのもとで配線の接続状態、スイッチやコンセントの動作確認、照明器具の点灯テストなどを実施します。

また、電気工事士による絶縁抵抗測定や接地抵抗測定などの専門的な検査も必要。これらの検査に合格した後、正式に引渡しです。

店舗の電気工事の具体的な施工内容

電気工事は場所や設備によって施工内容が異なります。そこで、店舗の電気工事で一般的な施工内容を紹介します。

照明設備の取り付け

照明設備の適切な設置は、店舗の雰囲気づくりと顧客満足度向上に直結する工事です。

基本となる全体照明からスポット照明、装飾照明などを組み合わせ、店舗のコンセプトに合った光環境を創出します。

照明設備を取り付ける際は、節電効果も意識しましょう。例えば、色温度可変のLED照明を採用することで、時間帯や季節に応じて店内の雰囲気を変えられます

また、調光システムの導入により、細やかな光量調整が可能になり、エネルギー効率の向上と快適な空間づくりを両立できます。

電源とコンセントの設置

電源とコンセントの適切な配置は、店舗の機能性と安全性を高めます。レジやキッチン機器、パソコンなどの配置を考慮し、必要十分な数のコンセントを設置しましょう。

また、将来の拡張性を見据え、余裕をもった配置計画が重要です。安全面では、漏電遮断器の設置や接地(アース)工事が欠かせません。例えば、水を使う場所には防水型コンセントを使用し、感電リスクを低減します。

安全な店舗運営のために、電源やコンセント周りには特に気を配りましょう。

通信設備の設置

現代の店舗運営において、高速で安定した通信環境の整備は不可欠です。

POSシステムやセキュリティカメラ、Wi-Fi などの通信設備を効果的に配置することで、業務効率の向上と顧客サービスの充実を両立できます。具体的には、有線LANの配線工事、無線 LAN アクセスポイントの設置、光回線の引き込みなどが主です。

例えば、店舗全体をカバーする Wi-Fi ネットワークを構築することで、顧客満足度の向上やモバイル決済の導入が容易になります。

また、セキュリティ面では、ファイアウォールの設置やネットワークの暗号化など、データ保護対策も重要です。

空調設備の設置

空調設備の適切な設置は、顧客と従業員の快適性を確保し、店舗の魅力を高めるため欠かせません。

空調機器の電源確保や制御系統の配線、温度センサーの設置などが主な作業となります。店舗の広さや形状、天井高、窓の位置などを考慮し、最適な空調システムを設計しましょう。

例えば、天井カセット型エアコンと床置き型エアコンを組み合わせることで、効率的な空調が可能になります。さらに、換気システムとの連携やIoT技術を活用した遠隔制御機能の導入など、顧客が快適に店舗を利用できるように最新技術の活用も検討しましょう。

店舗の電気工事前に確認すべき注意点6つ

店舗の電気工事前に確認すべき注意点

店舗の電気工事前に、以下6点を確認しておく必要があります。

  • スケジュールの調整
  • 必要な電力容量の確認
  • コンセントやスイッチの配置と数
  • 電化製品の配置と数
  • 通信設備や機器の配置と数
  • 機能性とデザインの両立

それぞれを確認して電気工事を進めることで、後悔しない、理想的な電気工事を進められます。

スケジュールの調整

電気工事のスケジュール調整は、店舗運営への影響を最小限に抑えるために重要です。工事期間中の営業停止や制限は売上に直結するためです。

例えば、飲食店の場合、深夜や早朝の営業時間外に工事することで、営業への影響を抑えられます。全面的な休業を避けつつ、繁忙期や特別イベントの時期も避けることで、ビジネスへの影響を最小化できます。

必要な電力容量の確認

店舗の電力容量の適切な設計は、安全性と将来の拡張性を確保する上で重要です。まず、店舗内のすべての電気機器の消費電力を洗い出し、総電力使用量を算出。この際、照明、空調、厨房機器、POS システムなど、あらゆる機器を考慮に入れましょう。

さらに、将来の機器追加や店舗拡張を見越して、20〜30%程度の余裕を持たせます。適切な電力容量の確保により、安定した店舗運営と将来の成長に備えることができます。

コンセントやスイッチの配置と数

コンセントとスイッチの適切な配置は、店舗の利便性と安全性を大きく左右します。店舗のレイアウト図を基に、各エリアで必要となるコンセントの数と位置を検討しましょう。

スイッチ類は入口付近に集中配置することで、開閉店時の操作性を高められます。さらに、防水型コンセントや鍵付きカバーなど、用途に応じた特殊なコンセントの使用も考慮します。

電化製品の配置と数

電化製品の適切な配置と数の決定は、店舗の効率的な運営と将来の拡張性を確保する上で重要です。飲食店であれば、冷蔵庫、冷凍庫、調理機器、食器洗浄機などが主要な電化製品となります。

これらの配置を決める際は、作業動線と電源の位置を考慮し、効率的なレイアウトを心がけましょう。具体的には、厨房内での移動距離を最小限に抑えるよう機器を配置し、各機器に適した電源を近くに確保します。

さらに、省エネ性能の高い機器を選択することで、電力消費の抑制とランニングコストの削減も実現できます。

通信設備や機器の配置と数

現代の店舗運営において、通信設備や関連機器の適切な配置は、業務効率と顧客サービスの質を左右する重要な要素です。

主要な通信設備には、POSシステムやWi-Fi ルーター、セキュリティカメラなどがあります。POSシステムはレジ周りに集中して配置し、安定した有線 LAN 接続を確保しましょう。

Wi-Fiルーターは、店舗全体をカバーし、死角が生じないよう複数台を戦略的に配置します。

また、通信機器の電源と通信ケーブルの配線を考慮し、見栄えよく、かつメンテナンスしやすい設置方法を選択します。

機能性とデザインの両立

店舗の電気設備は、高い機能性とデザイン性の両立が求められます。照明計画においては、作業に適した明るさを確保しつつ、店舗の雰囲気づくりにも配慮しましょう。

例えば、天井に埋め込み式のLEDダウンライトを使用し、壁面にはアクセント照明を加えることで、機能性と装飾性を両立できます。

コンセントやスイッチは、使いやすさを優先しつつ、店舗のインテリアに調和するデザインを選択します。また、タブレットPOSのような洗練されたデザインの機器を採用することで、ハイテク感と美観を両立可能です。

店舗の電気工事にかかる費用相場【ケース別に紹介】

店舗の電気工事にかかる費用をケース別に紹介します。

電気工事の内容 費用相場
照明器具の設置費用 8,000円~
コンセント・スイッチの増設費用 1つ12,000円~
エアコンの設置工事費用 10~30万円程度
ブレーカーの増設工事費用 15,000円~

工事を予定している場合、上記の費用を目安にしてください。ただし、あくまで上記は相場ですので、業者によっては安くなる可能性もあります。

いくつかの業者から見積もりをとって、予算内に収まる業者へ依頼しましょう。

電気工事業者を選ぶときの基準とポイント

電気工事業者を選ぶ際は、資格と実績の確認と、口コミと評判を確認しましょう。業者選びで失敗しないように、それぞれを確認する理由について解説します。

業者の資格と実績を確認する

電気工事の安全性と品質を確保するには、十分な経験と資格をもつ業者の選定が不可欠。まず、業者のホームページで設立年数や年間施工件数、有資格者の在籍状況などを確認します。

長年の実績は、技術力と信頼性の証です。例えば、設立10年以上で年間100件以上の施工実績がある業者は、電気工事の経験が豊富といえます。

第一種電気工事士など、有資格者の在籍状況も大切です。資格保有者が多いほど、高度な工事にも対応できる可能性が高まります。

口コミと評判を確認する

電気工事業者の選定において、口コミと評判の確認も欠かせません。

まず、インターネット上のレビューサイトを活用しましょう。Googleマイビジネスや専門の口コミサイトで、過去の顧客の声を確認できます。

工事の品質、対応の丁寧さ、価格の適正さなど、具体的なコメントに注目すると良いでしょう。

次に、業界内での評価も重要です。同業者や関連業種の専門家からの評判は、技術力や信頼性を判断する上で有効です。

口コミや評判だけではなく、直接打ち合わせをしたり、見積もり依頼したりした際の対応も確認しておきましょう。詳細な質問に対し、具体的かつ分かりやすい説明ができる業者は、高い専門知識と顧客対応力を、もっています。

店舗の電気工事は計画的に進めよう

店舗の電気工事は、内容や規模によって時間がかかるケースもあります。数日かかるような電気工事の場合は、一時的にお店を休業せざるを得ないので、必ず計画的に進めましょう。

また、信頼できる電気工事業者を選ぶのも大切なポイントです。

セーフリーでは、多くの業者の口コミを業種やエリア別に掲載しています。サービスから絞り込みできる機能もあるので、比較検討する際に役立ちます。無料見積もりも依頼できるので、まずはお気軽に利用してみてください。

店舗の電気工事とは?工事の進め方や注意点・費用についてのよくある質問

  • Q. 店舗の電気工事に必要な資格はありますか?

    電気工事士の資格が必要です。

  • Q. 店舗の電気工事にかかる費用の目安はどの位ですか?

    規模や内容により大きく異なります。たとえば、照明器具1つの設置であれば8,000円~です。

  • Q. 店舗の電気工事で休業する必要はありますか?

    工事の規模と内容によりますが、深夜時間に作業をしてもらうなどすれば休業を防げます。