アパートの鍵交換を勝手にすると損害賠償請求される

アパートの鍵交換を勝手にすると損害賠償請求される?対処法を解説

2023.12.30 2024.01.09

賃貸物件に住んでいると、鍵の紛失や故障などで鍵交換が必要になることがあります。しかし、勝手に鍵交換をしてしまうのはNGです。なぜなら、鍵は貸主の所有物であり、勝手に交換すると契約違反になる可能性があるからです。すでに交換してしまった場合は、どう対処するのが正解でしょう?

本記事では、アパートの鍵交換について詳しく解説します。すでに交換し終えたときの対処法や、鍵交換にかかる費用などもまとめたので併せて参考にしてください。

アパートの鍵交換を勝手にするのはNG!損害賠償請求される可能性も

アパートの鍵交換を勝手にするのはNG

アパートの鍵交換は、原則として貸主の許可を得てから行う必要があります。勝手に鍵交換をすると、以下の理由から損害賠償請求される可能性があるため注意が必要です。

・契約違反

賃貸借契約には原状回復義務や、貸主の承諾なく設備を改造してはならないなどの規定が定められている場合が多くあります。鍵交換は、貸主の所有物である鍵を勝手に改造する行為にあたるため、契約違反となります。

・緊急時の対応が遅れる

貸主が鍵交換の事実を把握していないと、水漏れや火事などの緊急時に、部屋に入れずに対応が遅れる可能性があります。

これらの理由から、アパートの鍵を交換する場合は必ず貸主や管理会社に相談し、許可を得てから行いましょう。

すでに鍵交換し終えた後の適切な対処法

すでに鍵交換をしてしまった場合は、速やかに貸主や管理会社に連絡し、事実を報告しましょう。連絡が遅れると、貸主や管理会社から損害賠償請求される可能性が高くなります。

リスクを少しでも減らすためには、誠意をもって謝罪の気持ちを伝えることが重要です。また、鍵交換を行った日時や理由、交換後の鍵のスペアキーの有無など、正直に伝えましょう。

スペアキーを作る場合も管理会社または大家の承諾が必要

賃貸物件のスペアキーも、原則として貸主の所有物です。スペアキーを作るには、貸主の許可が必要です。

そもそも、貸主はスペアキーの本数を把握しておかなければいけません。本数を把握できていないと、退去時にすべての鍵が返却されたのかわからず、不法侵入や盗難などのトラブルが発生するリスクを高めてしまいます。

さらに、スペアキーが不正に使用されて空き巣被害が発生した場合、貸主に管理責任が問われる可能性があります。そのため、貸主はスペアキーの本数を把握し、適切に管理する必要があるのです。

無断でスペアキーを作ったことがバレれば、貸主の信頼を失い、退去を命じられるなどトラブルに発展し兼ねません。

アパートの鍵交換が必要になるケース

アパートの鍵交換が必要になるケース

アパートの鍵交換が必要になるケースは、主に以下の2つです。

  • 防犯性を高めたい
  • 鍵を紛失してしまった
  • 鍵の経年劣化により不具合が生じている

鍵交換が必要かどうか、判断に迷っている方は参考にしてください。

防犯性を高めたい

アパートの場合、前入居者が使用していた鍵と同じままの可能性があります。

そもそも、貸主には入居者が入れ替わる際には、鍵を交換する義務はありません。そのため、長年同じ鍵が使用され続けている可能性も否めません。もし、前入居者が合鍵を作成していた場合、不正に使用されるリスクがあるため非常に危険です。

また、古いタイプの鍵は、ピッキングされやすいため防犯性は低いといえます。安心して暮らすためにも、鍵交換を検討したほうがよいでしょう。

鍵を紛失してしまった

鍵を紛失した場合、不正に使用されるリスクがあります。紛失したことに気付いたら、速やかに鍵交換を実施する必要があります。

紛失したときの適切な対処法

鍵を紛失したときは、以下の順に沿って対処します。

  1. 警察に紛失届を出す
  2. 管理会社もしくは大家に連絡する
  3. 鍵を交換する

鍵を探しても見つからない場合は、警察に届け出ましょう。最寄りの警察署や交番に行き、紛失届を提出します。紛失届を提出しておけば、万が一鍵が見つかったときは警察から連絡が来ます。

鍵の経年劣化により不具合が生じている

鍵は長期間使用していると、経年劣化により不具合が生じる場合があります。具体的には鍵が回らなかったり、鍵が抜けなかったりなどの不具合が生じやすくなるため注意が必要です。

生活に支障が出てしまうため、少しでも不具合が生じている場合は、早めの交換を検討するのがおすすめです。

アパートの鍵交換はプロに任せよう

アパートの鍵交換はプロに任せよう

アパートの鍵交換は、自分で行うことも可能です。しかし、自分で交換する際には、いくつかのリスクがあります。

そもそも、鍵の交換には専門的な知識と技術が必要です。知識がない素人が交換すると、鍵穴や扉に傷をつけてしまう可能性があります。失敗すれば鍵が開かなくなるトラブルに発展する恐れもあるでしょう。

また、防犯性の低下を招くのもリスクのひとつです。自分で交換すると適切な鍵を選べなかったり、取り付けが不十分だったりする可能性があります。防犯対策のはずが、防犯性を低下させてしまうでしょう。

プロに依頼して鍵交換を行えば、これらのリスクを回避できます。さらに、防犯性の高い鍵を提案してくれることも多いので、安心して暮らすためにも鍵交換はプロに任せるのがおすすめです。

アパートの鍵交換にかかる費用

アパートの鍵交換にかかる費用

鍵交換にかかる費用は、鍵の種類によって異なります。アパートによく使われる鍵とその費用相場は、以下の通りです。

鍵の種類

特徴

費用相場

ディスクシリンダー

防犯性:やや低め

・鍵の両側にギザギザとした鍵山がある
・価格は比較的リーズナブル

15,000円〜20,000円

ピンシリンダー

防犯性:やや低め

・内部にピンが並んだ円筒形の鍵
・ディスクシリンダーよりも複雑な構造だが、防犯性はそれほど高くない

15,000円〜20,000円

ディンプルキー

防犯性:高い

・表面や側面に丸い凹凸が複数ある
・比較的新しいアパートで採用されている鍵

25,000円〜35,000円

カードキー

防犯性:高い

・カードをセンサーにかざすだけで開錠できる
・ピンキングがほぼ不可能

5,000円〜20,000円

アパートの鍵交換にかかる費用について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

火災保険で安くなる可能性がある

アパートの鍵交換にかかる費用は、火災保険で賄える可能性があります。

火災保険は火災だけでなく、落雷・破裂・水災・盗難・水濡れ・給排水管破損などの損害を補償する保険です。鍵の紛失や盗難は、火災保険の「家財」の補償対象です。

家財とは建物に備え付けられたものや、建物内に置かれているものを指すため、鍵もまた家財に該当します。そのため、鍵の紛失や盗難によって鍵交換が必要になった場合、火災保険の「家財」の補償を受けられます。

ただし、火災保険のプランによっては、鍵交換の費用が補償対象外となっている場合もあるので、事前に保険会社に確認しておきましょう。

保険について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

アパートの鍵交換にかかる費用は誰負担?

アパートの鍵交換にかかる費用は誰負担

アパートの鍵交換にかかる費用は、借主負担になるケースがほとんどです。しかし、実際はケースバイケースのところもあるので、どのような状況が借主負担・貸主負担になるのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。

入居時と自己都合による鍵交換は「借主負担」

借主負担となる主なケースは、入居時と自己都合により交換が必要になった場合です。

まず、入居時に鍵交換を行う場合、費用は原則として借主が負担します。なぜなら、貸主には入居者が入れ替わる際に鍵を交換する義務はないため、交換していなくても法的には何も問題ありません。

仮に、新しい入居者が防犯対策を理由に交換したいと申し出ても、貸主は必ずその要望に応えなければいけないというルールはありません。

また、紛失や盗難などの自己都合による鍵交換も、借主負担になるのが一般的です。借主の管理に問題があって生じたトラブルであり、貸主には何の責任もないためです。

例外も!入居時の鍵交換は貸主負担になる場合もある

入居時の鍵交換にかかる費用は、基本的に貸主負担です。

しかし、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において「鍵の交換は建物管理上の問題であるため、賃貸人が負担することが妥当」とされています。賃貸借契約書に「鍵交換費用は借主負担とする」旨の特約が記載されていないのであれば、交渉次第では貸主が負担してくれる可能性もあります。

※参照:国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

経年劣化による鍵交換は「貸主負担」

鍵も長期間使用していると、摩耗や腐食などの経年劣化によって故障する場合があります。この場合、貸主負担で新しい鍵に交換するのが原則です。

経年劣化による鍵交換は、借主の故意や過失によるものではありません。貸主の管理責任に帰されるため、貸主が費用を負担する必要があります。

ただし、契約書に「経年劣化による鍵交換は借主負担」と明記されている場合は、借主負担となるため、事前によく確認しておくとよいでしょう。

【要注意】アパートの退去時には原状回復が必要になることも

アパートの退去時には原状回復が必要になる

貸主の承諾を得たうえで入居中に鍵を交換した場合でも、アパートの退去時には原状回復が必要になる可能性があります。特に、賃貸借契約書に「鍵は原状回復の対象とする」旨の記載がある場合は、借りた状態に戻すのが必須です。

鍵の紛失や破損による交換の場合、元の状態に戻すのは難しいため、そのままで良いと言われる可能性が高いです。ただし、防犯対策を理由に鍵を交換した場合は、入居時と同じ状態に戻すように言われるでしょう。そのため、鍵を交換する際には元の鍵を大切に保管しておく必要があります。

管理会社や大家が勝手に鍵交換するのもNG!

管理会社や大家が勝手に鍵交換するのもNG

アパートの所有者または管理者であっても、賃借人(入居者)の承諾を得ずに鍵交換するのは民法違反になります。

仮に、家賃や管理費などを滞納した場合でも、管理会社や大家が勝手に鍵を交換するのはNGです。知らないうちに鍵交換をされたら、入居者は管理会社や大家に対して、鍵交換の費用や損害賠償を請求できます。

実際に起きたトラブル

2016年、家賃保証会社が家賃滞納を理由に、入居者の同意なく勝手に鍵交換を行い入居者を締め出したとして、入居者が家賃保証会社に対して損害賠償を請求した事例が起きています。裁判所は、家賃保証会社による鍵交換は民法上の不法行為に該当すると判断し、入居者に55万円の損害賠償を支払うよう命じました。

※参照:日本経済新聞「家賃滞納者「追い出し」、家賃保証会社に賠償命令

アパートの鍵交換にお困りなら鍵のトラブル・セーフリーにご相談を

アパートの鍵交換にお困りなら鍵のトラブル・セーフリーにご相談を

アパートにお住まいの方は、鍵の紛失や故障などで鍵交換が必要になることがあります。しかし、鍵交換は専門的な知識や技術が必要であり、自分で行うのは困難です。場合によっては、鍵が上手く機能しなかったりドアを破損したりする恐れがあるので、鍵屋に依頼するのがおすすめです。

鍵のトラブル・セーフリーでは優良業者を多数紹介しています。安心して任せられる業者を探している方は、ぜひチェックしてみてください。

アパートの鍵交換を勝手にすると損害賠償請求される?対処法を解説のよくある質問

  • Q. アパートの鍵を勝手に交換するとどのようなリスクがありますか?

    賃貸物件の鍵は、貸主の所有物です。そのため、入居者が勝手に鍵を交換すれば、賃貸借契約の違反となります。
    契約違反を行った場合、貸主から借主に対し、損害賠償や契約解除などの措置を取られる可能性もあるため注意が必要です。特に、契約書に「鍵を紛失した場合は速やかに管理会社に連絡すること」などといった一文が記載されていた場合には、明白な契約違反です。

  • Q. すでに無断で鍵交換してしまった場合はどうすればよいですか?

    すでに無断で鍵交換してしまった場合は、まずは貸主や管理会社に連絡し、事情を説明し、正直に謝罪しましょう。
    貸主や管理会社は、入居者が勝手に鍵を交換したことを知り、怒りや不安を感じている可能性があります。そのため、まずは誠意を持って謝罪し、理解を得ることが大切です。

  • Q. スペアキーは無断で作っても問題ありませんか?

    賃貸物件のスペアキーは無断で作ってはいけません。
    賃貸物件の鍵は、貸主の所有物です。そのため、入居者が勝手にスペアキーを作成するのは、賃貸借契約の違反となります。
    契約違反を行った場合、貸主から損害賠償や契約解除などの措置を取られる可能性もあります。

  • Q. アパートの鍵交換にかかる費用は誰負担になりますか?

    状況によって異なります。
    基本的には、入居時と自己都合による鍵交換は借主負担、経年劣化による鍵交換は貸主負担になります。ただし、実際は入居者の負担になるケースが多いです。
    アパートの管理会社や大家によっても対応は異なるので、事前に賃貸借契約書の内容を確認しておくとよいでしょう。

  • Q. 管理会社や大家が勝手に鍵交換するのはアリですか?

    管理会社や大家が勝手に鍵交換するのは原則としてNGです。
    賃貸物件の鍵は、貸主の所有物ですが、入居者が使用を許諾されている物です。そのため、管理会社や大家が勝手に鍵交換するのは、入居者の権利を侵害する行為となります。