店舗移転に使える補助金・助成金一覧|メリットや注意点も徹底解説
2024.05.08 2024.11.29
この記事では、店舗移転の際に活用できる補助金や助成金について解説していきます。
店舗移転には、引っ越し費用のほか、既存店舗の閉店や新店舗の開店でさまざまな支出が生じるため、資金面で不安を感じている事業者も多いかもしれません。
資金面が不安で移転を踏みとどまっている人は、移転時の支出を補てんできる補助金や助成金の利用を検討してみましょう。
店舗移転の際に利用できる補助金や助成金について、メリットや注意点まで徹底解説しているので、店舗移転を検討している人はぜひ最後までお読みください。
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目次
店舗移転に活用できる補助金や助成金とは?
店舗移転は、補助金や助成金を活用すると移転費用を削減できます。補助金や助成金は、国や自治体などが、政策目標にそった事業を行う事業者に対して、かかった経費の一部を支給してくれる制度です。
ただし、補助金や助成金には違いがあり、豊富な種類の中から店舗移転に最適なものを選ばなければなりません。審査の厳しい補助金は少額から数千万円まで支給されますが、要件を満たせばほぼ受給できる助成金は少額なケースが多いです。
対象者や経費対象も異なるので、店舗移転で活用するには、移転にかかる費用も把握しておく必要があります。
店舗移転で生じる支出
店舗移転でかかる費用は、引っ越し費用だけではありません。現店舗から新店舗に移転する場合は、下記のように多くの支出が生じます。
現店舗の閉店にかかる費用 | ・解約予告期間分の賃料や水道光熱費
・原状回復工事費用 ・廃棄物処理費用 ・リース契約の途中解約違約金 ・従業員の給料 / 解雇手当 |
新店舗の開店にかかる費用 | ・物件取得費 : 保証金・礼金・仲介手数料・前賃料
・店舗設備費 : 内外装工事費・看板施工費・店舗クリーニング費 ・宣伝広告費 ・初期仕入れ費用 ・運転資金 |
店舗移転にはさまざまな費用がかかるため、移転費用をできるだけ抑えるには、支出した費用が対象となる補助金や助成金を選ぶのがポイントです。
店舗移転に役立つ!【補助金・助成金9選】
店舗移転には、主に以下の9つの補助金や助成金を活用できます。
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 業務改善助成金
- 受動喫煙防止対策助成金
- 事業継承補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- キャリアアップ助成金
- 自治体による補助・助成支援
各補助金・助成金は、移転にかかる経費を対象とするものから、間接的にコストを削減できるものとさまざまです。順番に解説していくので、参考にしてください。
※補助率や助成率、上限支給額や対象経費は2024年4月時点または直近の公募要領を参照しています。それぞれ変更される場合もあるので、公式HPなどで最新の情報を確認してください。
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、コロナの影響で支援が必要な事業者や、ポストコロナに対応して事業再構築を行う事業者を対象に、経費の一部を補助してくれる制度です。
事業規模や申請枠で補助金額が大きく変動しますが、1/2〜3/4の補助率で補助金を受給できます。店舗移転に関する主な補助対象経費は、以下の通りです。
- 建物費
- 機械装置・システム構築費
- 外注費
- 運搬費
- 広告宣伝・販売促進費
移転先店舗の土地の購入費用は対象外ですが、店舗改装工事費や設備導入費、材料費などが対象経費に含まれるので、店舗移転に役立てられるでしょう。
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を立て、販路開拓や生産向上に取り組む小規模事業者を支援する制度です。
個人事業主や従業員の少ない小規模事業者は、2/3〜3/4の補助率で最大250万円まで補助を受けられます。店舗移転の際に活用できる補助対象経費は、以下の通りです。
- 店舗改装費(委託・外注費)
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 機械装置費
- 借料
対象となる経費が幅広いので、制度の目的にそっていれば、店舗移転時の費用の節約に役立ちます。
業務改善助成金
「業務改善助成金」は、中小企業や小規模事業者の生産向上を支援してくれる助成金制度です。事業場内最低賃金の30円以上の引き上げと、生産向上を目的とした設備投資の両方を実施した事業者に支給されます。
最低賃金の引き上げ額と引き上げ人数で助成率(3/4〜9/10)が決まり、設備投資にかかった費用に助成率をかけた金額(最大600万円)が受給可能です。
補助対象となる設備投資費には、POSレジシステムの導入費用や、内装工事費用などが含まれます。店舗移転を機に、従業員の処遇改善と店舗経営の効率化を図りたい事業者に最適です。
受動喫煙防止対策助成金
「受動喫煙防止対策助成金」は、受動喫煙の防止を目的とした店舗改装に適用されます。助成の対象となるのは、一定の基準を満たした喫煙専用室の設置にかかる、工事費や設備費、備品費や機械装置費などです。
飲食店であれば助成率は2/3ですが、それ以外の業種の場合1/2に下がります。助成上限額は100万円です。
採択率が約90%と高いため、移転先店舗に喫煙室の設置を考えている事業者の人は、コスト削減に活用できるでしょう。
事業継承補助金
継承した店舗事業で、業態変更やリブランディングを目的に移転を考えているのであれば、「事業継承補助金(事業継承・引継ぎ補助金)」を検討してみてください。
事業継承補助金は、事業継承やM&Aを契機に経営革新や経営資源の引継ぎ、廃業・再チャレンジを行う中小企業を支援する制度です。1/2〜2/3の補助率で、最大800万円の補助を受けられます。
経営革新枠での申請なら、店舗等借入費や設備費、広報費や外注・委託費などが補助対象です。補助対象経費が幅広いので、事業の継承など条件が該当するのであれば、店舗移転の際に検討する価値は充分あります。
ものづくり補助金
設備の導入を目的とした店舗移転には、「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」を利用できる可能性があります。
ものづくり補助金は、新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善などを支援する補助金制度です。仮に従業員数が5人以下のカフェで、省力化枠から申請した場合、2/3の補助率で100〜750万円の補助を受けられます。
補助上限金額が比較的高く、設備導入費を対象としているので、高性能な機械設備や、人材不足を補うシステムなどの導入に最適です。移転を機に設備の導入やシステムの見直しをしたい事業者の人は、検討してみましょう。
IT導入補助金
店舗移転を機にIT機器を導入するのであれば、「IT導入補助金」も利用できます。
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者を対象に、経営課題を解決するためのITツールの導入費用を支援してくれる制度です。1/2〜4/5の補助率で、最大450万円まで補助が受けられます。
例えば、直接オーダーを取っていた飲食店が、移転を機にセルフオーダーシステムを導入した場合、導入費用は補助対象になります。
店舗移転に伴いシステムの効率化を図りたい事業者の人は、検討してみてください。
キャリアアップ助成金
「キャリアアップ助成金」は、従業員の処遇改善や非正規雇用労働者を正社員にするなど、従業員の労働環境の向上に取り組んだ事業主が受給できる助成金です。
例えば飲食店の申請事例が多い正社員化コースで、下記の労働者を正社員にすると、中小企業で1人当たり、以下の助成額が支給されます。
有期雇用労働者 | 無期雇用労働者 |
80万円(40万円×2期) | 40万円(20万円×2期) |
移転後に、従業員の正社員化を図るのであれば活用しない手はありません。店舗の移転費用に直接は関係しませんが、移転後の店舗にかかるコストを削減できます。
自治体による補助・助成支援
店舗移転をするなら、移転先の自治体による補助・助成支援を活用するのも1つの方法です。全国の自治体の中には、移転の促進や空き店舗の有効活用を目的とした補助金や助成金支援を実施しているケースが多くあります。
参考例として、現在(2024年4月時点)公募している支援制度をいくつか紹介します。
補助・助成内容 | |
創業・移転促進補助金 [三重県伊勢市] (参照元 : 伊勢市公式ホームページ) |
・店舗開設に伴う外装・内装工事費や設備費などの1/2相当額を最大100万円まで補助・店舗賃借料の50%を月額上限10万円まで6ヶ月支給 |
空き地・空き店舗活用事業助成金 [宮城県石巻市] (参照元 : 石巻市公式サイト) |
・空き店舗の購入費および整備費を1/2以内で1件につき最大250万円まで助成・空き店舗の賃貸料および整備費を1/2以内で1件につき最大170万円まで助成 |
あきないのまち支援事業補助金 [山口県山口市] (参照元 : 山口市ウェブサイト) |
店舗改修費を1/3〜1/2以内で最大150万円まで補助 |
店舗の移転先を決めている人は、活用できる支援制度がないか自治体のHPをチェックしてみましょう。
店舗移転に補助金や助成金を利用するメリット3選
補助金や助成金は、要件を満たすなら店舗移転に利用しない手はありません。利用すれば、以下の3つのメリットが得られます。
- 移転時に生じるさまざまな経費を軽減できる
- 原則として返済不要
- 社会的信頼度が高まる
それぞれ解説してくので、参考にしてください。
移転時に生じるさまざまな経費を軽減できる
補助金や助成金は、店舗移転にかかるさまざまな経費を軽減できるため、移転後のリスクも軽減できます。自己資金だけで移転してしまうと、移転後に店舗経営がうまくいかなかった時に、資金繰りに追われかねません。
補助金や助成金を受給できれば、旧店舗の閉店や新店舗の開店にかかったさまざまな費用を補てんできます。申請の準備や手続きに時間や労力を取られますが、審査を通すために事業を見直せるので、結果的にコストの削減につながるでしょう。
原則として返済不要
補助金や助成金は、基本的に返済の必要がありません。どちらも国や自治体などによる資金援助で、雇用保険料や国税・地方税が財源となっているためです。
雇用保険料が財源の失業給付金と同じで、要件を満たしていれば、受給する権利があります。返済のための資金繰りをする必要がないため、融資やカードローンよりもリスクは断然低いです。
補助金などは厳しい審査を通る必要がありますが、返済義務がないのは、移転後の店舗経営をしていく上で、大きなメリットといえるでしょう。
社会的信頼度が高まる
補助金や助成金は、受給できれば社会的信頼度を高められるのもメリットの1つです。補助金や助成金の審査に通った店舗は、事業計画や資金繰りがしっかりした店舗と見なされます。
特に個人経営店などは、実績や信用情報が不充分だと、融資や支援を受けにくくなるため、社会的信頼度は店舗経営をしていく上で重要です。
補助金や助成金の受給は、国や自治体から将来性のある事業として認められた実績となるため、融資を受けやすくなったり、他社との取引もスムーズになったりします。
店舗移転で補助金や助成金を活用する【5つの注意点】
店舗移転で補助金や助成金を活用するための、注意すべきポイントを紹介します。
補助金や助成金は、性質や特徴を知らずに申請してしまうと、かえって負担になったり、大きな失敗につながったりしかねません。
補助金や助成金を利用する際の注意点は、主に以下の5つです。
- 補助金や助成金は原則後払い
- 手順が煩雑で申請に時間や手間がかかる
- 不採択になるリスクがある
- 課税対象になる
- 返還を求められる場合がある
順番に詳しく解説していきます。
補助金や助成金は原則後払い
補助金や助成金は、店舗移転の資金にはできません。いずれも、基本的には後払い制のためです。
あくまでも一度支出した費用を補助するものなので、移転資金はあらかじめ用意する必要があります。
事前に受給できると勘違いして申請すると、移転資金が足らなくなり、移転そのものが成り立たないので注意しましょう。
手順が煩雑で申請に時間や手間がかかる
補助金や助成金は、申請に時間や手間がかかる点に注意が必要です。申請から受給までにかかる期間は、助成金が6〜8ヶ月程度で、補助金だと1年以上かかるものもあります。
また、審査の厳しい補助金などは、採択されるために必要書類をしっかりそろえ、念入りに事業計画書を作らなければなりません。
申請する補助金や助成金によって手順は多少異なりますが、採択されてからも交付申請や事業実績の報告、精算払請求など受給までの手続きが煩雑です。
不採択になるリスクがある
補助金や助成金は、必ずしも採択されるとは限りません。審査の厳しい補助金だけでなく、採択率の良い助成金の中にも、採択率が低いものもあります。
例えば、令和4年度の創業助成金(東京都)の採択率は、約13%でした。採択率が90%に達するのが珍しくない助成金でも、油断は禁物です。
申請書の内容や形式に不備があっても、不採択になる可能性はあります。申請する際は、過去の事例を研究するなどして、採択してもらえるようにしっかり事業計画書を策定しましょう。
課税対象になる
補助金や助成金は、課税対象になる点に注意してください。いずれも雑収入としての扱いになり、法人税や所得税の対象になります。
受給の際は、会計処理にも注意しましょう。収益の計上日は、原則として支給の決定日です。
勘定科目や会計処理を誤ってしまうと、税務調査で注意されてしまいます。なお、消費税の課税はないので、非課税取引として経理処理してください。
返還を求められる場合がある
補助金や助成金は借金ではないので、返済義務はありませんが、返還を求められる場合があります。返還を求められるケースは、主に以下の2つです。
- 公募要領や申請条件で定められた通りの結果を出せなかった場合
- 事業内容や事業実施報告に不備や不正があった場合
ただし、事業展開の際に中止や延期の必要性が生じた場合は、適切に対応すれば、即座に返還を求められるとは限りません。早急に窓口に相談すれば、減額や延期扱いとして措置を取ってくれる場合もあります。
補助金や助成金を活用して店舗移転にかかるコストを削減しよう!
補助金や助成金は、適切に活用すれば店舗移転にかかるコストを軽減できます。移転のタイミングによっては申請が難しい場合もありますが、自治体規模でもさまざまな補助金や助成金があるので、根気よく最新情報をチェックするようにしましょう。
店舗移転のコストを抑えるなら、引っ越し業者選びも重要なポイントです。
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-
Q. 店舗移転で什器を移動するのにいくらかかりますか?
A.2トン車1台分で7~8万円程度が目安です。
-
Q. 店舗移転のメリットは?
A.経営状態の改善が図れます。
-
Q. 店舗移転のデメリットは?
A.顧客を失う可能性や、大きな費用がかかる点がデメリットです。