2024.11.17 2024.11.17
事情があり自宅でペットの火葬を希望されるかたもいます。
しかし結論からお伝えすると、自宅で自らペットを火葬することはできません。
本記事ではペットの火葬が自宅で行えない理由と、自宅にいながらペットの火葬とお見送りができる方法である、「訪問火葬」について解説します。
自宅でペットの火葬ができたなら…とお考えの方の役に立つ情報をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
自宅でペットの火葬ができない理由
大切なペットを自宅で火葬したいと考える方は多いものの、実は自宅での火葬は認められていません。
法律面と技術面の両方から、自宅でのペット火葬は不可能となっています。
自宅でペットを火葬すると法律違反となるから
ペットの遺体は法律上「一般廃棄物」として分類されており、廃棄物処理法により自宅での焼却は固く禁止されています。
これに違反した場合、最大で5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という重い罰則が設けられています。
この法規制は、かつて認められていた一般廃棄物の自家焼却が環境問題を引き起こしたことから制定されました。
ペットの大きさに関係なく、たとえ小動物であっても自宅での火葬は違法となります。
火葬に必要な温度にならないから
ペットの火葬には800度~1000度の高温が必要とされます。この高温は、遺体を完全に火葬し、衛生的な処理を行うのに不可欠です。
しかし焚き火など自宅でおこせる火の温度は800℃を下回るため、一般家庭ではペットを火葬できるだけの高温を保つことは困難です。
また、火葬の過程では有害な煙や匂いが発生するので、特殊な排気設備や浄化装置が必要となります。
火葬炉には耐火性の特殊な素材や構造が求められ、安全性の確保に厳密な管理システムが必要です。
これらの専門的な設備や技術がない一般家庭での火葬は、火災の危険性があるだけでなく、不完全な焼却により周辺環境への悪影響や近隣への迷惑を及ぼす可能性があります。
このことからも、ペットの火葬は専門の設備を備えた施設で行う必要があります。
近隣とのトラブルに発展する可能性があるから
住宅地での火葬は、近隣住民への配慮が欠かせません。
仮に自宅で火葬を試みた場合、煙や臭い、灰の飛散により深刻な近隣トラブルを引き起こす可能性があります。
また、不完全な焼却によって発生する悪臭は、長時間にわたって周辺環境に影響を及ぼし、近隣関係を損なう恐れもあります。
火葬という行為自体に精神的な抵抗を感じる方もいるので、住宅地での実施は避けるべきです。
このような近隣トラブルを防ぐためにも、専門の設備を備えた業者による適切な火葬が必要となります。
訪問火葬サービスで自宅でお見送りを
自宅での火葬は法律上禁止されていますが、訪問火葬サービスを利用することで、大切なペットを自宅で見送ることができます。
自宅にいながらペットの火葬が行える「訪問火葬」には、「出張火葬」と「引取火葬」の2つの火葬方法があります。
- 出張火葬(火葬車が自宅に来て車両の中で火葬)
- 引取火葬(業者が引き取って施設や火葬場にて火葬)
出張火葬(自宅に来た火葬車の中で火葬)
出張火葬サービスは、専用の火葬車両が自宅まで出向いて火葬を行うシステムです。
火葬車両には専門の移動火葬炉が設置されており、法律に準拠した適切な温度管理と排気処理が可能です。
スタッフが到着後、ご家族の希望に応じて供養の儀式を執り行い、その後火葬を開始。
火葬時間は通常1〜2時間程度で、その間ご家族は自宅で待機することができます。
火葬完了後は、その場で収骨を行うことができ、お骨は専用の骨壷に納めてから手渡されます。
火葬車両には防音・消臭設備が整っているため、近隣に迷惑をかけることなく、尊厳あるお別れの時間を過ごすことができるのです。
引取火葬(業者が引き取って火葬場で火葬)
火葬業者が自宅までペットの遺体を引き取りに来て、業者の施設で火葬を行うサービスです。
時間的制約のあるかたや、ペットの火葬場までペットを運ぶ手段がないかたに適しています。
合同火葬と個別火葬の2種類があり、個別火葬の場合は後日返骨されるケースが多いです。
火葬後のご遺骨の取り扱いについては、事前に業者と確認することが重要です。
訪問火葬の料金目安や各種プランごとの目安
訪問火葬サービスの料金は、ペットの大きさや選択するプランによって異なります。
最後に、訪問火葬の一般的な料金体系と主なプランについて解説します。
主なプランと費用感について
訪問火葬サービスには主に3つのプランがあります。
もっとも一般的な個別立会火葬は、ご家族が火葬に立ち会い、拾骨まで行うプランで、小型犬や猫の場合2万円前後からとなります。
一任個別火葬は、スタッフが拾骨を行い返骨するプランで、立会火葬より2,000~3,000円程度安いです。
さらに経済的な合同火葬は、複数のペットを一緒に火葬するプランで、返骨はありませんが8,000円程度から利用可能です。
いずれのプランも、ペットの体重が増えるほど料金は上がり、大型犬の場合は5~7万円程度を見込む必要があります。
訪問火葬による基本料金の目安(ペットの体重別)
体重カテゴリー
|
合同火葬価格
|
個別火葬価格
|
家族立会価格
|
---|---|---|---|
極小動物(~1kg) | 5,000~15,000円 | 15,000円 | 17,000円 |
1~3kg | 11,600円 | 20,000円 | 22,000円 |
3~5kg | 14,000円 | 21,000円 | 26,000円 |
5~10kg | 20,000円 | 25000円 | 27,500円 |
10~15kg | 22,000円 | 30,800円 | 33,000円 |
15~20kg | 25,000円 | 33,000円 | 38,000円 |
20kg以上 | 35,000円 | 50,000円 | 55,000円 |
また多くの場合、上記の料金には以下のような費用が含まれています。
- 出張費
- 火葬料
- 骨壷・骨袋代
- 収骨作業費
ただし深夜・早朝の対応や遠方への出張は、別途料金が発生する場合があります。
その他、オプションサービスの利用には別途費用がかかりますので、必ず事前見積もりを利用することが大切です。
訪問火葬をするメリット・デメリット
訪問火葬のメリットやデメリット、どのような際に適しているのかについて解説します。
訪問火葬のメリット
訪問火葬サービスには、大切なペットとの最期の時間を穏やかに過ごすための重要なメリットがあります。
- 24時間対応可能:深夜や早朝でも対応可能で、家族全員のスケジュールに合わせやすい
- 移動の負担軽減:特に高齢者や身体が不自由な方、大型犬の飼い主にとって大きな利点
- 思い出の場所でのお別れ:自宅や庭など、ペットが安心できる環境で見送れる
訪問火葬の最大の特徴は、ペットが生前を過ごした思い出の場所で最期のお別れができることです。
専用の火葬車には消音・消臭設備が整っており、近隣への配慮も万全です。
また、火葬中はご家族が自宅で待機できるため、長時間の外出が難しい方でも安心して利用できます。
介護や子育てで時間調整が困難な方でも、自宅近くで火葬が完結するので負担が少ないです。
プライベートな環境で、家族だけの静かな時間を過ごせることも、多くの方に選ばれている理由の一つとなっています。
訪問火葬のデメリット
訪問火葬サービスには、以下のような注意点やデメリットがあります。
事前に確認し、自身の状況に合わせて検討することが大切です。
- 費用が割高:専用車両での出張サービスのため、一般の火葬施設より15,000~20,000円ほど高額
- 場所の制約:火葬車の駐車スペースが必要で、集合住宅では実施が困難な場合も
- 天候の影響:大雨や強風時は延期を検討する必要がある
訪問火葬の最大のデメリットは、一般の火葬施設と比べて費用が高くなる点です。
場所の制約も重要な考慮点で、特にマンションやアパートでは、適切な駐車スペースの確保が難しい場合があります。
さらに、サービス提供地域が限られているため、遠方の場合は出張費用が別途必要になったり、対応できない地域もあります。
これらの制約を踏まえたうえで、自身の状況に最適なサービスを選択することが重要です。
訪問火葬はどんな人に向いてる?
訪問火葬は、大切なペットとの最期の時間を大事にしたい方に特に適したサービスです。
特に、家族全員でじっくりとお別れの時間を持ちたい方や、ペットと過ごした思い出の場所で見送りたいと考える方に推奨されます。
また、高齢の方や身体が不自由な方、遠方の火葬施設まで移動することが困難な方にとっても、負担の少ない選択肢です。
大型犬など、重いペットの移動に不安がある飼い主さんにも適しています。
他の飼い主さんと場所を共有したくない方や、プライベートな環境でお別れを済ませたい方にとっても、訪問火葬は理想的な選択となるでしょう。
訪問火葬の注意点
訪問火葬は非常に便利な火葬方法ですが、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。
火葬場所の確保
訪問火葬を実施するためには、火葬車が安全に作業できる十分なスペースや、一定時間車を停めても支障のない場所の確保が必要です。
一般的に、自宅の駐車場やお庭などの平らな場所が適していますが、マンションやアパートなどの集合住宅では場所の確保が難しい場合があります。
また、火葬車の設置場所は、近隣住民への配慮も必要となります。建物から適度な距離を取れる場所を選ぶことが重要です。
場所の確保が難しい場合は、業者が近隣の適切な場所を提案してくれることもあります。
近隣への配慮が必要
訪問火葬を実施する際は、近隣住民への十分な配慮が必要です。
最新の火葬車は消音・消臭設備が整っているものの、火葬という行為自体に精神的な抵抗を感じる方もいます。
そのため、火葬場所は建物から適度な距離を取り、近隣の目に触れにくい場所を選択することが重要です。
また、お骨上げの様子も近隣住民の目に入らないよう配慮が必要で、特に小さな子供がいる家庭への配慮は欠かせません。
火葬業者と相談しながら、近隣トラブルを防ぐため、最適な場所選びを行いましょう。
天候の影響を受ける場合がある
訪問火葬は天候の影響を受けやすいものの、多くの場合は雨天でも実施可能です。
最新の火葬車は、雨が火葬炉内に入り込むことを防ぐ設計になっており、高温による蒸発効果で火葬自体に支障をきたすことはありません。
とはいえ、大雨や強風などの悪天候時には、お骨上げの際の不都合や、火葬効率の低下を考慮して、延期を検討する必要が出てくる場合もあります。
天候が心配な場合は、事前に業者と相談し、最適な日時を選択することをおすすめします。
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