2024.03.05 2024.09.03
本記事では、日本で生息し被害を及ぼすシロアリの種類を解説します。
世界には想像を超える種類のシロアリが生息しています。その数はなんと3000種、日本にも20種類を超えるシロアリが生息していると言われています。
一言にシロアリといっても、種類によって特徴は大きく異なるもの。
今回は、多種存在するシロアリの中でも、日本で被害にあいやすい種類に焦点を当て、種類ごとの特徴や見分け方を説明していきます。
目次
シロアリはアリの仲間?
名前に「アリ」と入っているシロアリですが、実はアリの仲間ではないことをご存じでしょうか?
シロアリは、ゴキブリを先祖とした生命力の強い虫で、昆虫学の観点では、「昆虫綱ゴキブリ目シロアリ下目 」。一般的なアリとは別の種類の昆虫なのです。
昔から生存するシロアリは種類も豊富で、世界の熱帯~温帯地域にかけて、2,900種類以上のシロアリが生息すると言われています。
このうち日本で見かけることができるのは20種類程度に絞られますが、中でも、主に以下の3種がいわゆる「シロアリ」として、人間の住まいに大きな被害を与える種類です。
- アメリカカンザイシロアリ(カンザイシロアリ)
- ヤマトシロアリ
- イエシロアリ
それぞれがどのような特徴を持つのか、その見分け方について順番にご紹介します。
一番駆除が難しい【アメリカカンザイシロアリ】
日本にもともと存在せず、外来種としてやってきたのが「アメリカカンザイシロアリ」です。
アメリカの太平洋沿岸部を原産地とする害虫で、日本へは家具や荷造材などとともに持ち込まれた経緯があります。
温暖化の進行に伴い、一部地域で発見されはじめました。
通常のシロアリとは違って湿った材木を好まず、建物屋内の乾いた木材に食害をもたらします。被害を受けた木材の表面に、3~4mmの丸い虫孔ができるのが特徴です。
小集団で生活しているため、生息域の特定が難しいですが、虫孔から砂粒状の糞を排出する行為が、巣のあるサインとなります。
アメリカカンザイシロアリは駆除の難易度が高く、通常の駆除方法では予防すら困難です。
最も被害が多い種類は【ヤマトシロアリ】
日本各地で最も生息数が多く、被害も多く報告されているのが「ヤマトシロアリ」です。
- 湿気を好み、木材の中に巣をつくる
- 地中やコンクリートに蟻道を作る
- 4~5月に大量発生しやすい
上記3つの特徴を順に見ていきましょう。
湿気を好み、木材の中に巣をつくる
ヤマトシロアリは乾燥に弱く、ほとんど日の当たる地上に現れません。自分自身で水を運ぶ能力がなく、水分の多い湿った木材の中で巣を作って生活しています。
湿度の多い場所にシロアリが発生しやすいイメージがあるのは、ヤマトシロアリの生態によるところが大きいと言えます。
地中やコンクリートに蟻道(ぎどう)を作る
地上に現れることの少ないヤマトシロアリは、行動範囲がそれほど広くありません。
しかし、より湿った場所を探すため、地中やコンクリートの表面に「蟻道(ぎどう)」と呼ばれる通り道を作り、移動する習性があります。
蟻道が家屋の木材にできてしまった場合は、そのまま壁の内部や屋根裏まで被害を及ぼす場合もあります。
4~5月に大量発生しやすい
普段は目にとまりづらいヤマトシロアリですが、唯一見かけることが多い時期があります。
その時期とは、4月~5月の繁殖時期。ヤマトシロアリの羽アリが大量に、かつ一斉に飛び立ちます。
羽アリの群飛を見つけた場合は、お住まいのどこかに巣があり、数万~数百万匹の単位で生息していると考えるべきでしょう。
被害の深刻度が高い種類は【イエシロアリ】
日本では一部の地域にしか生息しないものの、世界のシロアリの中で最も被害が拡大しやすいのが「イエシロアリ」です。
ヤマトシロアリと違い、自分自身で水を運ぶ能力があるため、次のような被害がもたらされます。
- 周辺の建物や樹木に被害が拡大
- 乾燥した小屋などでも湿らせて建物全体に被害
こちらも順に見ていきましょう。
周辺の建物や樹木にも被害を拡大する
ヤマトシロアリとは違い、野外にも固定の巣を作ることで、行動範囲を広げる特徴があります。
最初の巣を起点にし、蟻道を作ってさらに周りの建物や樹木に巣を増やすため、被害が拡大していきます。行動範囲の目安として、100m以上に蟻道を延ばした記録もあるほどです。
乾燥した場所でも湿らせて建物全体に進出
水を運ぶ能力があるイエシロアリは、乾燥した建物でも、自力で湿らせることで木材を食べやすくする習性もあります。
ヤマトシロアリのように湿った場所だけに限定されないため、その行動力は恐ろしく、放っておくと建物全体が被害にあう可能性も少なくありません。
ヤマトシロアリとイエシロアリの種類はどうやって見分ける?
行動範囲の違いこそあれど、ヤマトシロアリとイエシロアリは、生息箇所や生態が似ています。
とは言え、小さなシロアリをじっくり確認するのは避けたいところ。羽アリの発生時期に着目すると、細かい形状を観察する必要なく判断できます。
羽アリの発生時期(繁殖時期)は以下の通りです。
- ヤマトシロアリ:4~5月
- イエシロアリ:7月ごろ
暖かくなりはじめた頃に発生するのがヤマトシロアリ、梅雨でじめじめとした時期に発生するのがイエシロアリだと判断できるでしょう。
シロアリの成長過程における種類と特徴
どのシロアリも、1つの巣の中に集団を形成して生息しています。成長に応じて、役割分担された階級社会が確立されていきます。
- シロアリの卵
- シロアリの幼虫
- 王アリ・女王アリ
- 兵アリ
- 職アリ
それぞれどのような役割があるのか、順番にご紹介します。
シロアリの卵
シロアリの卵は、一つの巣に数千~数万個存在します。
女王アリによって毎日数百個単位で産卵されており、1ヶ月~3ヶ月程度で孵化します。毎日かなりの数の産卵と孵化が行われるため、増殖スピードはかなり速いと言えるでしょう。
シロアリの幼虫
孵化した時点で幼虫となります。ここまではどの階級でも同じ大きさ、色、形をしています。
大きさは1mmほどで、肉眼でギリギリ確認できるとても小さな状態。この幼虫が成虫になる段階でいくつかの階級に分かれていきます。
王アリ・女王アリ
その名の通り、ともに産卵に専念する最上位の階級です。
王アリと一緒に生活する女王アリの寿命は10年以上と言われていることに加え、さらに巣内には、副王アリ、副女王アリ(副生殖虫)も存在します。
女王・王が死亡したり傷ついたりした時に、代わりに生殖の役割を果たし、産卵がストップしないようにしています。
兵アリ
兵アリは、外敵からの防衛にあたる階級。
頭部が大きく、褐色~黒色の大顎を持っています。外敵対策に専念しているため、巣を維持するための他の作業はしません。
自らが食べる食糧ですら、次に紹介する職アリから口移しでもらうほどです。
職アリ
職アリはいわゆる「働きアリ」と呼ばれ、巣全体の90~95%の割合を占めるもっとも数の多い階級です。
その仕事も多岐にわたり、巣の構築やメンテナンス、日々の餌の採取も仕事のうち。さらには、王アリ・女王アリ・幼虫・兵アリのお世話などをする、まさになんでも屋です。
女王アリと比べ寿命は短めで、平均して2年~数年と言われています。
シロアリの種類ごとの被害を受けやすい場所
3種のシロアリで、建物の被害を受けやすい場所は異なります。
- ヤマトシロアリは床下中心
- イエシロアリは床下から広範囲へ
- アメリカカンザイシロアリは神出鬼没
行動範囲の狭い順から説明していきましょう。
ヤマトシロアリは床下中心
行動範囲のせまいヤマトシロアリは、主に床下で粛々と活動します。
自力で水を運ぶ能力がないので、湿気のあるところに被害が集中しやすい傾向があります。そのため、家全体や近隣にまで被害が拡大することはありません。
しかし、雨漏りや結露などが発生している場合は、そこから蟻道を作って移動できるため、2階や小屋裏にまで被害が及ぶこともあります。
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イエシロアリは床下から広範囲へ
ヤマトシロアリと同じく、イエシロアリも地面に近い床下から被害が始まることが多いです。
自然と湿気がたまりやすい床下はもちろん、自ら水を運ぶ能力があるイエシロアリは、蟻道さえ作れば乾燥した屋根裏や建物全体にまで被害が及びます。
さらに蟻道を伸ばして近隣の建物にまで被害を及ぼすこともあるので、とにかく早めに根絶すべきでしょう。
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アメリカカンザイシロアリは神出鬼没
アメリカカンザイシロアリは、上記2種とは違い、乾いた木材を好みます。
つまり、湿気が少ない場所だからと安心できず、建物のどこにでも被害が発生します。
目に見えるところに糞を落とすため、茶色や黒の小さな粒状の糞らしきものがが落ちていたら、そのそばの木材が被害に遭っていると考えられます。
シロアリの種類ごとに駆除対策を取ろう
本記事では、シロアリの種類や見分け方などをご紹介しました。
小さなシロアリは、見分ける際も凝視しなくてはならず、なかなか目視で判断するのは難しいもの。
シロアリの種類によって駆除対策も異なるため、被害の兆候があった場合には、早めに専門業者に相談しましょう。
セーフリー掲載のシロアリ駆除業者なら、シロアリの種類ごとに適した駆除・対策を実施してくれます。見積もりや現地確認対応を徹底する優良業者が揃っていますので、ぜひご活用ください!
シロアリの種類と見分け方は?【日本で被害を及ぼすのは主に3種類】のよくある質問
-
Q. シロアリが好む木材の種類はありますか?
A.シロアリはどんな木材でも食べますが、比較的柔らかい木材を好む傾向があります。
樹種でいうと、特にマツ・スギ・ヒノキを好みます。 -
Q. シロアリが嫌うものや環境を知りたいです。
A.シロアリが特に嫌うものは、日光・乾燥・寒さです。つまり、暗くて湿度が高く、温かい環境があれば、生存性がかなり高いと言えます。
-
Q. 羽アリはすべてシロアリですか?
A.シロアリは生殖時期を迎えると、羽アリへと変化します。一般には翅(ハネ)のついた蟻のような虫を、総称して「羽アリ」と呼ぶため、羽アリ=シロアリというわけではありません。
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