2023.12.04 2024.09.03
ダニの中には、人間の体に住み着いてさまざまな症状をもたらす種類もいます。
ダニが人間の皮膚に寄生する病気のことを「疥癬(かいせん)」と呼び、万が一発症した場合は適切な治療を受けなければなりません。
この記事では、疥癬について、治療法から似ている病気との見分け方までを詳しくご紹介します。
治療の後はダニ予防も必須。ぜひ、ダニ対策の参考にしてください。
目次
ダニが体に住み着く「疥癬」とは?
草むらに生息するマダニや布団などに住み着くチリダニやツメダニなどのほか、人の体に住み着くダニもいます。
そして、ダニが体に住み着く病気は「疥癬(かいせん)」と呼ばれます。
まずは、疥癬について、概要や原因となるダニの種類、感染経路を見てみましょう。
疥癬の概要
ヒゼンダニが皮膚に寄生する皮膚病「疥癬」は世界中で発生する病気ですが、発展途上国では特に多いことが特徴です。
国内でも、高齢者施設や介護施設、病院など集団施設での発生が報告されています。
ヒゼンダニとは?
ヒゼンダニは、体調325~400μmと非常に小さく、肉眼では確認が難しいダニです。
人の皮膚でのみ生存し、寿命は14日ほどとされています。
乾燥に弱く、人の皮膚から離れると数時間しか生きられないことが特徴です。
雌のヒゼンダニは、人の角質層にトンネルを掘って産卵します。
このトンネルは「疥癬トンネル」と呼ばれ、指の間や手のひら、脇の下などに発生することが多いです。
疥癬の感染経路
疥癬は、感染している人と肌が触れ合うことでうつります。
直接触れる以外にも、衣類や寝具、タオルなどを共有することで間接的に感染することもあります。
ダニが体に住み着く「疥癬」の種類
疥癬には、下記2つの種類があります。
- 通常疥癬
- 角化型疥癬
角化型疥癬は、「ノルウェー疥癬」と呼ばれることもある種類です。
原因や感染経路に違いはありませんが、感染力やヒゼンダニの数に違いがあります。
通常疥癬 | 角化型疥癬 | |
ヒゼンダニの数 | 1,000以下 | 100~200万 |
感染力 | 弱い | 非常に強い |
通常疥癬と違って角化型疥癬は感染力が非常に強く、集団感染が発生することもあります。
通常疥癬は直接触れ合っても少しの間であれば感染する可能性は低いですが、角化型疥癬は衣類や寝具を共有したり、感染者から剥がれ落ちた皮膚に触れることで感染することもあるので注意が必要です。
ダニが体に住み着く「疥癬」の症状
疥癬は、感染から4~6週間で症状が出始めます。
これは、体に住み着いたヒゼンダニが増殖するためです。ヒゼンダニが増えると、ダニそのものやフンなどがアレルゲンとなり症状が始まります。
詳しい症状は、通常疥癬と角化型疥癬で違いがあります。
通常疥癬 | 角化型疥癬 | |
感染者の免疫力 | 正常 | 弱い |
症状が出る部位 | 手や指、腹、太ももなど | 手、足など |
主な症状 | 疥癬トンネル、赤い湿疹など | 疥癬トンネル、角質が増殖する |
通常疥癬
通常疥癬では、疥癬トンネルが手のひらや指などで多く発生します。
赤い湿疹は腕や腹、太ももなどに現れることが多く、特に夜間になると激しいかゆみが出るのが特徴です。
角化型疥癬
ヒゼンダニが増殖した角質が厚くなり、皮膚がボロボロと剥がれ落ちます。
手や足をはじめ全身に症状が出て、場合によっては耳や爪にも発症する角化型疥癬。
かゆみの症状は人によって異なり、まったく感じないケースもあります。
ダニが体に住み着く「疥癬」の検査
疥癬特有の症状である「疥癬トンネル」などの皮膚を採取し、ヒゼンダニや卵、フンなどを検出する検査が行われます。
肉眼では見えないヒゼンダニですが、顕微鏡であればその姿をハッキリと確認できます。
疥癬と診断されたら、一緒に暮らす家族も検査すると安心です。
直接触れたり、衣類や寝具を共有している人は感染している可能性があるため、早めに検査しておきましょう。
ダニが体に住み着く「疥癬」の治療
疥癬の治療では、殺ダニ効果がある内服薬と外用薬を使います。
かゆみの症状が強い場合は、別途でかゆみ止めの薬が処方されることもあります。
治療に使われる薬の副作用は?
疥癬の治療で使われる薬を使うと、副作用が出ることがあります。
- かゆみ
- めまい
- 吐き気
上記のほか、発熱や倦怠感など、重い副作用が出ることもあるため、医師の指示に沿って服用することが大切です。
また、万が一副作用が出てしまったら、早めに医師の診察を受けましょう。
市販薬に効果はある?
市販薬でも、疥癬に有効なものがあります。
- オイラックスソフト(含有されるクロタミトン成分が疥癬に有効)
- イオウ・サリチル酸・チアントール軟膏(含有されるイオウ成分が疥癬に有効)
これらを使う際は、薬剤師に相談しておくと安心です。
ただし、ステロイド配合の市販薬は疥癬を悪化させてしまうため使用できません。
オイラックスの中には、ステロイドを配合している商品もあるため注意して選ぶ必要があります。
また、使用しても症状が改善しない場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
ダニが体に住み着く「疥癬」を放置するとどうなる?
疥癬を放置すると、ヒゼンダニがどんどんと増えてしまいます。
自然治癒することもありますが、治るまでに1ヶ月はかかるとされ、その間に家族などへうつす可能性もあるので注意しなければなりません。
また、放置すると皮膚の角化が進んだり腫れやかゆみが継続することも多いです。
疥癬は早期発見と早期治療が大切なので、下記のような症状がある場合は医師の診察を受けましょう。
- 夜間になるとかゆみが強くなる
- 皮膚や湿疹にしこりがある
- 長細くわずかに盛り上がった線状の盛り上がり(疥癬トンネル)がある
- 家族などの身近に、同じ症状を抱える人がいる
ダニが体に住み着く「疥癬」を家庭内で広げないためのポイント
疥癬に感染すると、家族などの身近な人にもうつしてしまう危険があります。
家庭内で感染を広げないためには、通常疥癬・角化型疥癬それぞれでご紹介するポイントを押さえておくと安心です。
通常疥癬
通常疥癬は感染力が高くありませんが、下記の対応をすると感染を防ぎやすくなります。
- 感染者と長い時間肌を接触しない
- 感染者と肌が触れたら手を洗う
- 衣類や寝具、タオルを共有しない
- 同じ部屋で布団を並べて寝ない
角化型疥癬
感染力が高い角化型疥癬の場合は、よりしっかりとした対策が必要です。
- 感染者は個室で過ごす
- 感染者と接する際は手袋や防具を身に付ける
- 感染者の衣類やシーツは毎日交換する
- 衣類や寝具、タオルを共有せず、洗濯も別に行う
- 感染者の洗濯物は、50度以上のお湯で10分以上浸してから洗濯する
- 丁寧に掃除機をかける
- 室内をこまめに消毒する
ダニが体に住み着く「疥癬」の予防法とは
疥癬には、残念ながら予防ワクチンなどはありません。
そのため、感染している人との接触をできる限り避けることが予防となります。感染しているかどうか分からない場合もあるため、症状が出て疑わしい場合は早めに医師の診察を受けることが大切です。
ダニが体に住み着く「疥癬」に似た病気
通常疥癬と似た症状が出る皮膚の病気では、下記が挙げられます。
- アトピー性皮膚炎
- 皮膚そう痒症
- 老人性乾皮症
角化型疥癬の場合は、下記と症状が似ています。
- 紅皮症
- 乾癬
- 悪性リンパ腫
ただし、一見しての判断は難しいため、症状が出ている場合は早急に医師の診察を受けることが重要です。
ダニが体に住み着く「疥癬」には要注意!
発展途上国で発生しやすい疥癬ですが、日本でも感染することがあります。
知らないうちに感染してしまうこともあるため、万が一にそなえて正しい知識を身につけておくことが大切です。
ヒゼンダニ以外にも、ダニにはさまざまな種類がいます。布団などで増殖するダニはアレルギーの原因になることもあるため、日頃から身の回りの清潔を保っておきましょう。
ダニをしっかり駆除するなら、専門の業者への依頼がおすすめです。
ダニが体に住み着く?!疥癬(かいせん)の症状や検査・治療法を徹底解説!のよくある質問
-
Q. ダニが体に住み着くきっかけは?
A.人の皮膚に住み着くヒゼンダニは、感染者との接触によってうつります。
また、衣類や寝具、タオルなどを共有することによる間接接触でも、ダニがうつることがあります。 -
Q. 体に寄生するダニは?
A.人の皮膚には、ヒゼンダニというダニが寄生します。
ヒゼンダニは、皮膚の角質層を掘って産卵し増殖することが特徴です。 -
Q. ダニが体に寄生したらどうすればいい?
A.ダニが体に寄生する「疥癬」になった場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
外用薬と内服薬を処方してもらえるので、適切に治療すれば症状が改善しやすくなります。
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